フリーランスの勘違い。
(2012年1月16日)

カテゴリ:キャリアのことも

20年近く会社勤めをして、フリーランスになって7年あまりが過ぎた。一度の人生の中で全く異なる生活ができていることは、面白いと思っている。ただし、フリーランスが会社員に比べて「優れた働き方」だとか「優秀な人は会社に残らない」という声が聞こえると、「それは違うだろう」と思う。
「働き方」の違いが、人の優劣につながるわけではないからだ。
ただ、昨年くらいから会社勤めについての懐疑的な声が、何となく強くなっている気がする。それはソーシャルメディアで「つながっている」という感覚や、「ノマド」という言葉の一人歩きも重なり、そこに震災後のリセットされた空気が重なっているのだろう。
そもそもfreeという言葉は、「解放」という意味合いがある。「束縛されない自由」だ。「ストレスフリー」「アルコールフリー」のような表現もある。
フリーランスは、たしかに組織からは束縛されない。しかし、その一方で多くの場合は企業組織との取引で仕事が成立している。おカネやモノの流れの多くは企業を通過していて、その流れがどのようにして個人に回っていくのかという「流れ方」において、会社員とフリーはたしかに違う。しかし、おなじカネの流れの中にいることはたしかだ。
それを承知で、フリーランスが誇りを持つのはいいのだけれど、会社員の仕事に敬意を払わない人が増えたり、意味もなく優位感を持ちたがる人が目立つのは、ロクでもない混乱を生むだけだろう。
「会社の名前で仕事をする」よりも「自分の名前で仕事をしたい」という若い人の声はよく聞く。ただし、フリーランスというのは「組織と仲間を背負って仕事している」ことからも、またフリーなのだ。
会社勤めに懐疑的な学生などもいると思うけれど、「謙虚さを持たないフリーランス」の言うことだけはとりあえずスルーして欲しいと思っている。