2011年11月アーカイブ
(2011年11月4日)

カテゴリ:雑記

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去る9月30日に、父が他界した。今年は、年初から父の健康状態がいろいろと思わしくなく、僕は初めての経験に直面していた。死去の前後も含めて、仕事への影響を最低限に抑えられたのは、今にして思うとわずかな救いだった。
一ヵ月が過ぎて、この間も単行本の入稿やクライアント・ワーク、大学の講義などは普通に流れていた。合間を縫って、色々な手続きをおこなって、一段落したところだ。
父は、典型的な「戦後日本の男」だった。会社員だったが、家のことは母に任せきり。夜は遅く、週末は寝坊するので、子どもの頃「父と二人」という記憶がほとんどない。後になって思うと、それほどのワーカーホリックでもなかったのだろうが、高度成長期は普通に働いても会社漬けになってしまうものなのだ。また、同居していた祖父があちこちに連れて行ってくれて、典型的な「お祖父ちゃん子」だったことも影響しているだろう。
僕が小学校に入る前後だったかと思うが、新聞のチラシに「塗り絵」があった。当時日立の「キドカラー」というカラーテレビのキャラクターで、オウムの「ポンパ」君というのがいたのだが、その塗り絵である。
僕はその塗り絵をこしらえた。そして、電器屋まで行くと何かもらえるようなのだが、その店が当時の年齢ではかなり遠かった。今にして思うと歩いて20分弱程度の所なのだが、子どもにはかなり未知の世界だったのだ。
そして、どういう経緯かは忘れてしまったが父が一緒についてきてくれた。店で何をもらったのか、覚えていない。ただし、父と二人だけで歩いたことはよく覚えている。
そして、その後はそういう記憶もないが、それを不満に思うこともなかった。
ただ、二人で歩いたことは嬉しかったのだろう。未だに「ポンパ君」のことはよく覚えている。

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