「一橋の強さ」から見える採用側の心理。
(2011年12月27日)

カテゴリ:キャリアのことも
タグ: ,
181-graduationcat.jpg

「就活に強い大学」とかいう特集が目につく。季節的なものもあるだろうが、今年はなんと「夕刊フジ」とかにも出ているようだ。親が就活を気にするというか、きっと口を出すようになってきたというか、そういう世代が大学生の親になったということで、それは自分と同じ世代だったりするんだけど。
じゃあ、一番就職に強い大学はどこか?これは、いろんな基準があるので雑誌によっても異なるだろうが、自分の印象でいうと一橋大学である。実際そういうランキングにした雑誌もあるようだが、これは実感に近い。
理由は単純で、学生の質に加えて絶対数が少ないことである。一学年が1000人くらいではないだろうか。東京大学が3000人くらいで、早稲田だと10000を超えるはずである。この絶対数の少なさ=稀少性が就活にどう影響するのか。
それは採用側の視点で考えればすぐにわかる。
人事としては、最終的に「いい学生」を取りたいのだが、大学のバラエティは確保したいのである。多くの経営者は、採用の細かいことを見ない。100人採ったら、「どの大学から何人」を大雑把に見る。その時に特定の大学ばかりというのは、あまり好まれない。まして、一橋のようなクラスを取り損なうと「採用担当は何をやっているんだ」ということになりかねない。実際に一橋の学生を取り損なうことは結構あるようだ。これは、卒業生の多い大学では考えられない。
一方で、慶応のことを人事担当者は「ゴキブリ」に喩える。ともかく、ワラワラと人気企業に群がってきて、しかも落そうにも結構しつこい。これは、最近のことではない。僕が就活をやっている頃に、人事部にいるとある先輩に聞いた話だ。これは今でも変わっていない。必然的に慶応の学生のライバルは慶応の学生になる。
さて、このように考えると、実は多くの大学生にとってのチャンスが見えてくる。いわゆる「中堅私大」の学生は、もっともっと機会があるはずなのだ。


いわゆる人気企業の採用担当者は、まずは押し寄せる慶応の学生を抑えて、バラエティに富んだ採用をしたい。ところが、他の私大の学生は意外とやって来ない。特定の大学向け説明会をやっても、空席が出たりするのである。
人気企業ばかり回るのもよくないと思うが、あまりにも「自分たちはこのあたり」と自己規定していることも目につくのである。
採用担当者としての理想は「幕の内弁当」のような感じで、いろんな具材が詰まっているように幅広く採用したい。「鳥そぼろ弁当」ではまずいのだ。
一橋はその稀少性ゆえに「欠かせない具材」なのだが、実は採用側は「具材不足」に悩んでいる。だから、多くの私大の学生は「稀少な具材」になれるチャンスがあるのだ。卒業生数が多くても、「あまりエントリーしていない企業」においては、稀少性が出るからだ。とりわけ、B to Bの企業には機会があると思う。
学生はどうしてもOB/OGが多い企業に親しみを感じるようだが、「自分の大学の卒業生が少ない企業」を狙っていくこともいいのではないかと思う。
==========================================================
就活を控えた学生のためのフリーコンテンツ「就活セットアップ」をスタートさせました。右下のアーカイブから掲載分はすべて読めます。11/30まで連載してその後も掲載されます。