離職率が低いのはいい企業なのか?
(2013年4月1日)

カテゴリ:キャリアのことも
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「新卒離職率が低い、ホワイト企業トップ300」という記事が掲載されていた。
ブラック企業が話題になっているだけに、「ホワイト企業」というのはつかみがいいかもしれない。もっとも社長が白い犬だったりするのかもしれないが。
記事のトーンとしては「離職率が低い=いい会社」という感じがする。もちろん、離職率が低いということには「いいこと」もある。ただし、ことはそれほど単純ではないようにも思う。
いまから書くことは、キャリアの仕事に携わる人間にとっては常識的なことだ。ただ、この記事はヤフトピにも上がっていて、この就活シーズンに「ホワイト企業」だけが一人歩きするのもなあ、という感じがするので、簡単に書いておきたい。
「離職率が低い会社」には、どのような理由があるのか。僕は以下の面から考えられると思う。
P. 会社に問題が少なく、いい職場であり満足している
これは、もちろんその通りだと思う。
Q. 転職志向の低い社員が多いこと
つまり最初から「一生同じ会社」という志向性の社員が多ければ離職率は低い
R. 社員が転職するだけの能力を持ち合わせていない
会社に就職することと、転職する能力は別物なので当然こういう側面もある
S. 業界全体が停滞・後退期で求人がない
若年の転職は同業や隣接業界であることも多い。業界に活気がなければ転職率は低い
つまり、「離職率が高い会社」はその逆の特徴があると考えられる
P’. 会社に問題が多く職場の雰囲気が悪い
Q’. 転職志向の高い社員が多い
R’. 社員が転職するだけの能力を持ち合わせている
S’. 業界全体が成長期で求人が多い
少なくとも「離職率が高い=ブラック」というほど単純な図式ではないということだ。
もちろん、離職率が少なく素晴らしい会社もあるが、離職率はあくまでも現実の一側面。こういう記事に対しては、常に多面的に考えることが必要だと思う。特に学生の皆さん、よく考えてみてね。