STAP報道と理系/文系の谷。
(2014年4月2日)

カテゴリ:世の中いろいろ

表彰されることはないだろうが、「STAP細胞」は今年の新語としては相当パワーがあった。昨日の理研の会見で「一見落着」かと思ったら、小保方氏の「異議」などもあって、多くの人にとっては「よく分からない上に、どうでもいいこと」になっている気もする。

そもそも、このニュースは日本における「理系と文系の谷」を明らかにしてきたなと感じている。テレビというのは「文系視点」の極で“割烹着”などでヒロイン仕立てに熱心だった。一方で、ネットではこうした報道に懐疑的な意見も多く、ソーシャル調査という「理系視点」で議論がされていた。

そうした中での「疑義」が今回の記者会見につながってきたのだけれど、「STAP細胞があるのか」という肝心の点については「1年かけて検証」ということになった。つまり、相当の時間がかかる。これは科学の視点ではもっとも重要なことのはずなんだけれど、小保方氏の異議で、世間の関心はきわめて世俗的な方向に走ると思う。

この小保方氏の異議は「悪意の有無」が処分内容に直結するからこそ、出されたものだと思う。ただこれによってもはや、科学的に動向という段階ではなく、「わざとじゃいなもん、許してよ」的な情状酌量話をどう決着つけるかという法科・文系な話になってしまった。

ところが「人事上の懲戒」というのは文系の中でも、きわめて文系的というか訓告と戒告をどうするか、とか免職は厳しいかどうか、とかそもそもが曖昧だ。だからこそ、飲酒で懲戒を受けた公務員の裁判が後を絶たない。

でも、メディアの多数は盛り上がるだろう。そもそも、「文系メディア」はそういう話が好きだし、また多くの受け手も同様だからだ。

「小保方氏独占手記」は、みんな狙うだろう。そして、この「異議」によって、STAP細胞の真実よりも、よりわかりやすい下世話な話に流れていくんだろうか。もう、なんというか文系プロレスの場外乱闘になりそうな気がする。

だとしたら、相当残念な気もしている。

自分自身も文系なので、「ダメな文系脳」が活性化してしまう危険はよくわかる。このニュースについては民放テレビでは見ないようにしているし、週刊誌からも遠ざかり、ネットでも個人攻撃のような記事は読まないようにしてた。

ただ、いろいろな報道を読んでいて一番バランスがよかったのは、新聞の科学担当が書いた記事だったと思う。民放テレビは論外としても、ネットの匿名記事は個人攻撃や噂も多い。新聞も社会面はテレビ的だが、トータルでは一番わかりやすかった。全体として、新聞の層の厚さを感じたことはたしかだ。

それにしても、STAP細胞の有無は本当に気になる。どこかでSTAP細胞が「早く僕を見つけてよ」と待っている図を想像してしまう文系脳で申し訳ないが、ぜひ継続的な調査報道をしてほしいなと願っている。