「マイナス5歳」があふれて、48歳か63歳とか、女子期間はどんどん伸びるし。
(2014年9月29日)

カテゴリ:マーケティング

テレビを見ていたら「マイナス5歳」というコピーの化粧品のCMが流れて、ふと気づいたら別のCMも「マイナス5歳」でこっちは下着だった。化粧品の方は花王ソフィーナのプリマヴィスタで、下着はワコール。

一体、「マイナス5歳」に反応するのは、そもそも何歳かと思っていたら、小泉今日子が出てきて「48歳」といきなり言いだした。これはコーセーのエルシア。

どうして、女性向けの美容系製品は、ここまで年齢をテーマにするようになったんだろう。しかも、相当に直截的な気がする。

そして、きわめつけはSKⅡの桃井かおりだ。綾瀬はるかとのやり取りのあとで、「これで63、悪くないと思うわけ」の決め台詞。

面白いと思うのは、化粧品の効果や特徴も訴求はしてるけど、もはや重要なことはズバリ年齢ということになっている。マイナス5歳という数値目標とか、タレントが実年齢言いだすとか、既に女性誌などではよくある特集の切り口だったけど、CMにまで一気に溢れてきたように感じる。

日本の女性の平均寿命は今年も世界一。ところが長生きをするということは、老年期が伸びるということだ。平均寿命に合わせて、「じゃあ成人は25歳」とはならない。しかし、老年期のスタートを先送りしちゃえ、と思えばなんとなくできないこともない。かくして、女性は一生をつうじて「女子」になりつつある。

女子期間を伸ばすのは、高齢化の中で「老年期を減らす」ための知恵なんじゃないかと思うわけだ。

ただ、こうなってくると一定年齢以上じゃなければ、周りから「オオ!」と言ってもらえない、というややこしいことにもなってくる。

28歳のモデルは美しくて当たり前。48歳にして無邪気にはしゃぎ、63歳にして「悪くない」と自ら言って、なんか価値が出るということになってしまった。不惑とかなんとか関係ない。ていうか、孔子とかってホントにイケてないように思えてきた。

そもそも「不惑になった」っていうのは男性ばかりのような気がする。一方で、楽しい女子期間が伸びれば、ますます男性との平均寿命の差が開くんじゃないのか、とか化粧品の広告見ながら、いろいろ考えてみたりするのだった