「指示」>「勧告」が誤解されやすい理由。
(2014年10月6日)

カテゴリ:世の中いろいろ

今度の台風でも多くの市町村で、避難指示や避難勧告が出たようだ。13時過ぎのニュースだと「指示」が5万人強で、「勧告」は150万人余らしい。

「勧告」よりも、「指示」の方がより強く切迫している状況で発令されて、それほどの事態になったエリアも相当あったようだ。

つまり「指示」>「勧告」となるんだけど、これって結構逆に捉えている人が多いという。最近はよく出されるので、メディアでも話題になっていた。

でも、どうして勧告の方が“強い”ニュアンスを持つんだろう?

と考えると、これはいわゆる「言葉のインフレ」の一つの例と捉えると分かりやすい気がする。

そもそも、「指示」という言葉が、子ども頃からしょっちゅう聞かされている。

一番聞くのは、学校だろう。「先生の指示に従いなさい」という感じだ。で、その指示もロクに守られるとは限らないし、言う方も「どうせ全部は従わないだろ」くらいで、指示を出している。

その後も、上司の指示や得意先の指示など、まあ人はあらゆる指示に振り回されつつ、それもまたどこか適当。でも、どうにか世の中は回っている。

すべての指示が、そのまま行われるわけもなく、それで何とかなるんだから、「指示」の言葉の価値は軽くなる。まさにインフレだ。

一方、勧告はどうか。この言葉、一般生活ではまず聞かない。で、いまニュースで避難勧告以外の、「勧告」を調べてみる。

と、どうなるか?

どこかの町長へ議会が離職勧告。みんなの党の離党勧告。そして、国連やOECDの勧告だ。

たしかに、そうそう出されるものではない。政治的なにおいがして、ことに国際機関の勧告は相当に重みがある。滅多に出なければ、言葉は重い。

というわけで、指示>勧告というのは、たしかに間違えやすいんだろうな。

ちなみに、国連勧告などを英語で何というか調べると、Recomenndation。「レコメン」ですよ。デザイナーがラフスケッチをやる気なさそうに何枚か持ってきて、これも適当な営業が「で、レコメンは~?」とか言うのと言葉は同じ。

まあ、勧告の文字も「勧める」だから、たしかに強い感じではない。ちなみに、さっきのような勧告も、守られるかというとなかなかそうでもなかったりする。でも、使われなければ言葉の価値は重い。

というわけで、世の中に「指示」が乱発されているうちは、この誤解は結構続くような気もするんだけど。