民主党「自虐ポスター」の吉凶を占うと。
(2016年1月28日)

カテゴリ:広告など
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民主党が新しいポスターを発表した。三種あるようだが、中でも話題になっているコピーがある。

「民主党が嫌いだけど、民主主義を守りたい」というキャッチコピーだ。

記事だなどでも、このコピーが特に話題になっているようで、見出しは「自虐的」となっている。

話題作りとしてはいいかもしれないが、この「自虐的」な広告表現はさて、吉か凶か。過去のケースを見ておきたい。

まずはソニーが推進していたビデオ規格の「ベータマックス」だ。もう、若い人にとっては歴史上の出来事ではあるが、家庭用VTRの規格でVHS型と並んでシェア争いをしていた。そして、劣勢になった時点でこんなコピーの広告をした。1984年のことである。

「ベータマックスはなくなるの?」

4日連続の新聞広告で、最終日は「ますます面白くなるベータマックス!」と締めくくられるのだが、インパクトの大きかったのは最初のコピーだった。

次に、セガがおこなった「湯川専務」の登場するCMだ。こちらは1998年。新聞広告で「セガは倒れたままなのか?」というコピーでスタート。もちろん、こちらも「ドリームキャスト」のキャンペーンへと展開させた。

そして、AIR DOのケースは1999年だ。大手が北海道路線の値下げなどをおこなう中で、「AIR DOをつぶせ!」というコピーで広告をおこなった。

その後の動きをみてみよう。

ベータマックスはシェア競争に敗れて、1988年にはソニーがVHS規格の機器を発売した。

セガは2001年にプレイステーション2などへのソフト供給をおこない、家庭用ゲーム機市場から撤退した。

AIR DOは、2002年に債務超過となり民事再生手続きをおこなった。

それが、広告から一定期間後に起きたことであった。

自虐的広告が、このような結果になったこととの直接的な因果関係があるとは言い切れないし、今さら検証もできない。そして今回のコピーもどのような結果につながるかはわからない。

また、上記の事例と異なるのはネットにおける情報拡散の効果だ。一定の話題になることで関心を持ってもらえればよい、という狙いかもしれない。

ただし、ブランド名と「負のベクトルの言葉」をつなげるのはどうなんだろうか?というのが僕の直感的な疑問である。「行くぜ100万台!」で成功したプレイステーションのように、言葉が勢いをつけることの効果も強い。

もちろん選挙においては、アンダードッグやバンドワゴンなどいろんな現象が観察される。

ただし、過去のケースをもとに吉凶を「占う」のであれば、少なくても“大吉”とは言えないと思うんだけどね。