朝型は「まだ」で過ごすが、夜型は「もう」に追われやすい。
(2016年2月19日)

カテゴリ:キャリアのことも
タグ: ,

NHK国民生活時間調査の発表があったようで、いわゆる朝型が増えているという。

高齢化の影響もあるだろうが、働く時間もシフトしているので、全世代的に同様の傾向があるようだ。

朝型か夜型か?という話になると、夜型は分が悪い。検索すると面白いんだけど「朝型」には、「なるには」というノウハウの話が多い。ところが「夜型」だと、「夜型にもすごい人は多い」という話が出てくる。つまり、最初から言い訳モードになっているのだ。

僕自身は朝型、というか夜が弱い。大学受験の時も0時を超えたことはない、というか無理だった。

というわけで、今でも基本的には朝早めに活動するし、睡眠不足ということはないし、昔から目覚ましは使わなくても普通に起きている。

もっとも体質によっても差があるようなので、誰でにでも奨めるわけではないけれど、朝型には心理的メリットがあると思う。

それは、時間に対して「まだ」と捉えるか、「もう」と感じるかの差だと思う。

6時台に起きて、猫に餌をやって水を取り替えて、ニュースチェックしてメール書いたりして、朝食食べて、風呂洗ってストレッチしてとかいろいろやって、仕事始めて一段落しても「まだ9時か」という感じだ。

昔クリエイティブの忙しいセクションにいた時は、みんなのスタートが遅い。やっと午後から起動して、なんだかんだで「もう9時だ」となる。もちろん午後9時だけど。

スタートを早めると「まだ」という時間感覚で過ごせるが、遅いと「もう」になる。これは、朝型夜型という1日だけの話ではない。

週明けから先行して仕事をできれば、「まだ水曜日」だが、出遅れれば「もう水曜日」になる。1年でも同じこと。半年を過ぎた時に「まだ6月」か「もう6月」か。それは、そこまでに何をやってきたかによると思う。

つまり、仕事のペースは人それぞれでも構わないが、時間軸は固定されている。朝型でも夜型でも働く時間は同じかもしれないが、同じ時刻を迎えた時の心理が異なるのだ。

もっとも「もう」という心理になった方がパワーが出るという人も多いだろう。しかし、こうした追い込み型というのは、何かのトラブルに弱い。競馬でも「直線追い込みに賭ける」というのは決まればカッコいいけれど、失敗すると目もあてられない。

仕事でも「前方好位」をキープしておいて選択肢を増やす方がいいだろう。今でもギリギリまでエンジンのかからないクリエイターもいるようだが、結局は部下や発注先を泣かして成立させていることが多いので、結構危うい構造になっている。

仕事が複雑になって、グローバル化してプレイヤーの数が増えた今は、先行策が有利だろう。もちろん中長期的にもそうだし、それを1日のリズムに落とし込むと自然に朝型にシフトするのではないだろうか。

「まだ」か「もう」か。時間に対してどう感じることが多いだろうか。

 

【本の話】「時間」という得体のしれないものについて取り組んだ哲学者はハイデガーだが、とても大部なので木村敏の「存在と時間」が面白いだろう。精神医学者の書いた哲学に時間を考えた本で、僕は結構若い頃に巡り合ったが、何度読んでも惹かれるものがある。なお一律朝型勤務に対しては医学的にも疑問が呈されている。この著者は医学的見地から睡眠を研究している第一人者だ。