2016年03月アーカイブ

僕がオーケストラのコンサートを聴いたのは40年近く前からになるけれども、日本のオケは相当達者になったと思う。

1980年代頃までは、オケによっても水準のばらつきがある上に、器も多目的ホールが殆どだった。ロンドンのオケが来て日比谷公会堂で演奏していたのだから、隔世の感がある。ああ、こんな言葉が違和感なく使えるほどに歳をとったということか。

いっぽうで、その頃は海外オケが圧倒的にうまかった。そして、高い席から売れていった。いつからか、安い方から売れるようになったのは、聴き手の感覚もあるだろうが、いいホールができたことも大きいと思う。席による音響的な差が縮まったのだ。

とはいえ、物見遊山のようなオケも結構あったし、来日オケがバブル状態になると玉石混交であることもわかってきた。

そして、日本のオケは着実に力をつけてきた。いろいろ理由はあると思うが、教育の差は大きいだろう。考えてみれば、戦前に教育を受けたような人が第一線を退くのが、ちょうど80年代である。その世代は、奏法についても情報が少なく偏っていたし、気質的にも職人肌なので組織的には停滞してしまうわけだ。

そんなわけで、僕も近年は日本のオーケストラの定期演奏会のメンバーだったりしたが、十分に満足していた。最近は、定期会員ではないが時折足を運ぶ。最近だと、東フィルの第九のような雑な日もあったが、読響のシベリウスのような卓越した演奏もある。まあ、だいたいに応じて、十分に楽しめる。 >> このままだと、日本のオーケストラはヤバいと思う理由。の続きを読む