「出生者数×転入超過数」で見ても、東京は特異だった。
(2016年3月16日)

カテゴリ:マーケティング

出生転出入近所のスポーツクラブに新規会員受付窓口の待ち時間が「40分」になっていた。少し前は「20分」だったが、もうすぐ「60分」という掲示になるだろう。3月から4月は、そうした節目の季節だ。

日本の春は、出会いと別れの季節でもある。というのは昔からの常套句だが、それもエリアによって大きく変わっている。東京などにいれば、出会いも別れもたしかにあるけれども、多くの地方では「出会い<別れ」だ。都道府県ごとの転出入の数字を見ればすぐにわかる。

で、いろいろ数字を見ているうちに「転入超過数×出生者数」で都道府県を分析すると、そのエリアの「勢いの絶対値」が見られるんじゃないかと思ってこんな図を作ってみた。出典は総務省統計局の「日本の統計2016」だ。データは2014年で、昨年の数字も出ているのだが、加工の関係で一昨年のものだ。まあ、傾向値としては十分だと思う※

日本の人口が全体として減少しており、地方に行くほどそれが顕著であることはよく言われている。その原因は少子高齢化で死亡者数が増加していることが大きな原因だ。

ただし、今後を占う意味では出生者数と転入超過数に着目してみたらどうか?と考えたのだ。

で、このグラフだが横が転入超過数で、縦が出生者数だ。右上の方はそれぞれが多いということになる。

一目見てあきれるのが東京の特異性だ。出生者が11万を超えて、転入超過が7万以上である。

そして、転入数がプラスの県が、多い順に埼玉、神奈川、千葉、愛知、福岡、宮城となり、いずれも政令指定都市がある。(※2015年は沖縄が転入増で、宮城はマイナスになった)

一方で出生者数が多いものの、転入がマイナスになっている道府県がある。大阪、兵庫、北海道、静岡、広島、京都、茨城などだ(※大阪は2015年はプラスに転じた)

西日本に目立っているが、人口の絶対数は多いものの、外から人がやって来ない。内向きで完結しているイメージで、全体としては人口減になる。

その他のエリアは左下に塊のようになっているが、この季節は圧倒的に「別れ」が多いということになるのだろう。

今後のことを考えると、転入者数の少ないエリアが上向きの変化を起こしていくとは考えにくい。転入者は若年層に多いから、「転入者増加→出生者増加」という順番になる。

つまり、首都圏と愛知・福岡くらいにそうした動きがみられるということだろうか。

しかし、東京にいると見えなくなることが多い。とはいえ、東京を離れればそれはそれでわからないこともある。

少なくても、今年も東京の春が喧しいことは確かなようだ。