落語の客席でわかる政治家への「支持率」。
(2016年5月19日)

カテゴリ:世の中いろいろ
タグ: ,

先日とある落語の会に行ったとき、マクラで都知事の話になった。

まあ、毒舌で鳴らす噺家だったんでケチョケチョンだったのだけれど、客席は大うけで「もっとやれ」という感じで、話している方が「マアマア」と抑えるくらいだった。まあ、止む無しをいう感じもする。

「パーティで政治と宗教の話をしてはいけない」というのは、けっこう昔から言われていることだろう。僕は、そんなパーティに縁がない頃に聞かされた。あと、祖父から教わった、パーティの心がけというのも思い出す。

それは「空腹でパーティには行くな」ということだった。たしかに、そうだ。

まあ、空腹で落語に行ってもいいかもしれないが、落語のマクラでも政治の話は難しいと思う。そもそも政治の話自体でシラけることも、十分にあるのだ。

そう考えると、女性が多い席で政治ネタをする人は少ない。年齢層が高めで男が多い時だと、時折マクラでふってくる。

そして、一番難しいのは、「それなりに人気がある政治家」の場合だ。

勘のいい噺家は、この辺りをちゃんと捉えている。そりゃそうだ。一定以上の支持率がある場合は、客の中にもそれなりの支持者がいる。そこを貶しても反応は鈍い。

記憶にある限り、小泉純一郎はやはり扱いにくい人だったと思う。若手が迂闊にいじったのを見たことがあるけれど、明らかに客席の受けはよくない。あの内閣は低い時でも40%弱は支持率があったはずだ。そういう感覚が、客席にも広がっているのだろう。

まあ今の都知事や、その前の人は言われたい放題で、それで受けていた。さらにその前になると、なかなかいじれない。

民主党政権時代の首相は、揶揄の対象にもされていなかった。やってしまうと、場が暗くなるのだろう。

さて、そう考えると今の首相はどうなのか?

いろいろ見てきた経験からいうと、実は、結構いじりにくい感じになっている。これは言論プレッシャーでもなんでもなくて、客席が受けないんだから仕方ない。やはり一定の支持者がいるのだろう。

あと、現内閣を巡る議論は安保や経済政策の是非についてなので、とてもではないがマクラでは扱えない。それだったら、「竜宮城に家族で旅して経費にしてました」くらいの方が肴にしやすいのだ。

というわけで、政治家への支持を肌感覚で知るには、こうした客席での「笑われ度」で測れるのではないかと最近感じている。

少なくても、都知事はそうとうヤバいと思うぞ。