夏の夕暮れに最高の一枚。デュトワとモントリオールの「ラプソディ!」
(2016年6月26日)

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41Vw-Q7c1wL気がついたら、夏至も過ぎている。

日本では、夏至だからといって何があるわけでもない。おおかた梅雨のことも多いので、その陽の長さを満喫しきれないことも多いだろう。

冬至はクリスマスも近く、それは意図的なものとも言われているし、日本でも柚子湯とかの習わしがある。

欧州だと、夏至はそれなりの節目のようだ。「真夏の夜の夢」は、シェイクスピアの脚本やメンデルスゾーンの音楽で有名だが、この「真夏」という訳語はもちろん議論の対象になった。

もっとややこしいことに、内容自体は五月祭を舞台にしているので話はちょっとこじれる。ただし、欧州ことに北部では夏を迎えた大騒ぎというイベントは伝統的なのだろう。短いが、ずっと明るい白夜の季節でもある。浮かれたくなるのも、よくわかる。

もっとも、今年の欧州のように「夢であってほしい」と思う年もあるのだろうけど。

スウェーデンの作曲家、アルベーンに「夏至の徹夜祭」(夏の徹夜祭り)という曲がある。スウェーデン狂詩曲の第1番なのだが、この作曲家はこの曲しかしらない。

というか、デュトワ=モントリオールの「ラプソディ!!!」というアルバムを聴いて、初めて知ったのだ。

流れるようなメロディと、弾むようなリズム。標題にふさわしい楽しい音楽だ。そして、日本人であれば「公共放送のあの番組のテーマ」と似ている?と感じるのではないだろうか。

このアルバムは、本当に素晴らしい。ラプソディばかりを集めたアイデアもいいが、なんといってもこのコンビの最盛期の演奏だ。管楽器やパーカッションが上手なのはもちろん、華やかで色気のある弦楽器も美しい。

1995年だが、考えてみると来日公演で「展覧会の絵」を聞いて、たまげた覚えがある。最初のトランペットからしてすごい。普通に口ずさむようにして、あのメロディを奏でるとは想像できなかった。

欧州の気候を反映しているのか、そもそも内向性が強いこともあるのか、クラシックの音楽に「夏らしい」ものは少ない。

でも、この「ラプソディ」はいい。ビールはもちろん、ポルトガルの微発砲ワインなどを楽しみながら夕暮れを過ごしたい人は、ぜひ聴いてみてはどうだろう。