ピカチュウは、「文化人もどき」を教えてくれる。
(2016年7月27日)

カテゴリ:メディアとか

知り合いに、あちらこちらと食べ歩き、たいそう詳しい人がいる。それを半ば生業にしているので大したものだと思うのだけど、ちょっと言葉が危ういとことがある。

「あんな店、うまいという奴の気がしれない」

この手の言い回しがやたらと多い。会って間もない人、つまりお互いの好みもわからない人がいる前でもそんなことをいう。

食の好みは、人それぞれだ。とは言え、食べるだけでは満足できずに、評してランク付けまでする人もいる。

そして「ああ、あの店はちょっと苦手だな」といえばいいものを、なぜか客をまで貶めたがる。なんで、そうなるのかはわからない。ただ本人が気づかないうちに、相当友達を減らしているんじゃないだろうか。

何かへの好き嫌いは誰にでもある。ただし、そういう時に「それを好きな人」を攻撃する心理とは何なのだろう?

ポケモンGOのブームで一番面白かったのは、そういう批判をする人を観察できたことだ。

そういう発言を見ていると、ユーザーまで批判しちゃう人=「あんなものやる奴の気がしれない」という人には、幾つかのパターンがあると思う。

1つ目は、新しいものへの受容能力が低い人。放っておけばいいのに、ひとこと言わずにいられない。高齢者に多いと思う。

2つ目は、「流行りもの=ダメな人」という思い込みの人。まあ、こうしたへそ曲がりは昔から一定数いるけど。

3つ目は、自分が文化人だと思い込んでいる人。テレビでコメントした漫画家(というかただのコメンテーター)は、その典型だろう。でも、そういう人は結構身近にもいる。先の食通の人もそうだけど、人をダメ呼ばわりすのが知的だと思っている。

実は、マスメディア全盛期はそれでもよかった。メディアに出てくる文化人は、「こういう奴になってはいけない」というのが仕事で、それをありがたる人もそれなりにいたからだ。ファッションやライフスタイルの雑誌などは、その典型だろう。

ところが、そんなありがたみは薄れている。ネットの上では、誰でも文化人のように語れるので、勘違いしてしまう人が増えていく。

ポケモンGOって、こうした勘違い文化人もどきをあちこちからあぶり出してくれるあたりが面白い。

調べてみると、ピカチュウがテレビで頑張り過ぎて大騒ぎになった「ポケモンショック」は1997年。20年近くが経って、これだけ世の中を騒がせるパワーがあることに、僕は素直に驚くんだけど。