局イメージの希薄化と、「テレビ欄」の関係。
(2016年10月19日)

カテゴリ:メディアとか

大学の後期のメディア論は、いまの動向を素材にしている。

最初に簡単なスライド一枚のレポートを出して、教室で共有・講評するが、まずは「任意のメディア企業を選んで、その企業の課題と解決の方向」を書いてもらうというものだ。

まあ、問題意識やそもそものメディア接触を知ることが目的なので、画期的なアイデアを求めているわけではない。

メディア企業の定義は、マスからネットまで広い。ECなどもOKにしている。ただし、「何らかの課題」がある企業を選んでもらうので、その時期にやたらとニュースになっているような企業は指定から外す。2年前のあの新聞社や、今年だとあの広告代理店だ。

さて、今年だけど妙に「人気」だったのがフジテレビだ。比較的小規模な講義だが、やたらと多い。

視聴率低迷、というニュースを目にする機会が多く、「かつてバブル期は」というイメージも重なっているのかもしれない。実際は、2000年代のフジテレビはトップのことも多かったのだけど、そういう感じではないようだ。

ただ、フジテレビが「特に嫌い」というわけでもなく、「かつてはよく見た」わけでもない。どこか「よその国の話」のような感覚なのである。というか、そもそも「フジテレビ」というイメージを、テレビから得ているのではなさそうだ。

学生の情報ソースは殆どがネットだ。フジテレビの不調は、ネットメディアのネタになりやすく、目につくのだろう。

そこで、毎年聞いてる質問をしてみた。それは、民放局へのロイヤルティ、というか好意度を測る簡単な質問だ。

「おおきなニュースが起きて、どこのチャンネルでもニュースをやっている。NHK以外の局を選ぶならどこにするか?」

この質問をしてみると、その時にもっとも視聴率の高い局が多数になることが多い。最近だと、日テレに続いてテレビ朝日で後者はニュースに強いイメージもあるのだろう。

ところが、今年は反応が鈍い。いろいろ聞いてみてわかったのだが、「局イメージ」自体が希薄化しているようだ。

原因は色々あるだろう。日テレは巨人戦を放映してないし、「ドラマの○○」という局もピンと来ない。みんながバラエティに集中すれば局イメージは希薄になる。

いろんな意見の中で面白かったのは、紙の「テレビ欄」を見なくなり、テレビモニターの番組表からの選局になったからでは?というものだった。

ああ、これは一理あるかもしれない。たしかに、テレビ欄が紙であれば、局の番組構成を縦に読むこともあるから、局のカラーも見える。しかし、テレビモニターの番組表であればその時の番組を「横に探す」ことが多いだろう。

そして、ネットも含めてあらゆるコンテンツは、その時の気分でピッキングされる。そして、テレビ局イメージは、ネットの記事で作られるという皮肉な状態になっているのかもしれない。