制服だけじゃない、「東京ブランド」のホントの課題。
(2016年11月21日)

カテゴリ:マーケティング

石原慎太郎の都知事時代の功罪はいろいろあるだろうし、人によって評価も異なるのだろうが、「大江戸線」のネーミングにまつわる話は最大の「功」だと思う。

大江戸線がとてもいい!と思うわけではないが、最初の委員会答申では「東京環状線」で「愛称:ゆめもぐら」だった。石原氏は「環状していない」という理由で外させたというが、僕は「ゆめもぐら」が許せなかったんじゃないかと推測している。いや、やめてよかったよ。

先日、小池都知事が「東京ブランド戦略」を見直すと言い出して、まずは観光ボランティアの制服が槍玉にあげられた。舛添氏も美術に関心が高かったようだが、どうしてああいうデザインになったのか。慎太郎だったら却下したんじゃないかと思う。

この「東京ブランド」を巡る報道は、殆ど制服の話になっているが、そもそも「&TOKYO」というコンセプトもなかなか悩ましい。

一般的にブランディングにおいては、その対象になる価値を言葉で規定している。ただし、都市と言うのは一言で表現するのは難しく、大都市になればなるほど大変だと思う。なぜなら、多面性が強くなるわけで、地方ほど規定はしやすいだろう。

「杜の都・仙台」なら、まあ大体の人は納得する。

ところが、東京となるとどこを切り取るかが難しい。江戸から続く文化と、最先端のビジネス、あるいはサブカルチャーなどあまりにもごった煮で、それがまた魅力だ。こういう時にどうするか?というお手本としては、”I Love New York“を思い出す。

ニューヨークがどんな街かは何も言っていない。しかし、インパクトは強かった。

「&TOKYO」に決めるまでも、そうした議論があったんじゃないかと推測する。

だから、「東京の価値」を決めるのではなく、”&”に託した。託した、といえばいいようにも聞こえるが、ただ何となく「丸投げ」感もある。

かくして、sushiからmatsuriから、もう何でもありということになった。

しかし、「何でもある」ということは、「何にもない」と裏表だ。いくら「**&TOKYO」を続けても、東京がどんな街かは永遠にわからない。つまり、「中身は何でもあり」の枠を作ったわけだ。これもブランディングの新たな方法論といっていいのか。なかなかに悩ましい。

どちらかというと、これは「ブランディング」というより、「キャンペーン」ということじゃないだろうか。まあ、I Love NYも観光キャンペーンだった。

そして、「&TOKYO」をウェブサイトを改めて見たのだが、コンセプトの説明で「つながる」という言葉が出てくる。connectかlinkか細かいことはわからないけど、少なくても動詞の1つでもあった方がよかったんじゃないか。

制服の見直しで終わるのか、それとも本格的に東京ブランドの方法論を考えるのか。さて、どういう判断になるんだろう。

【追記】ちなみにこのfrom NYというブログ名を見て僕がニューヨーク在住だと思われる人もいるようで、ブログの写真もそっちの街並みだと勘違いされる方がいらっしゃるのだが、東京在住です。写真は自宅から撮ったもので、右の方に富士山が見えるはずなので。