「年末ジャンボに並ぶ人をどう思いますか?」と、採用面接で聞いたみたい。
(2016年11月24日)

カテゴリ:キャリアのことも,マーケティング
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11月の雪にも驚いたが、この雪の中、有楽町の宝くじ売り場には「年末ジャンボ」を求める行列ができているというニュースを見た。いや、筋金入りとはこういうことなんだろう。

近年のことだけど、この行列ができる頃になると決まったように「どうして?」と書く人が増えてきた。批判、というほどじゃないけど「それ、違うでしょ」というトーンで、苦言というのか詠嘆というのか。

つまり、確率的は相当低い上に、しかも特定の売り場のとある窓口で買いたいがために、長時間並ぶって、あまりに非合理的だろという話だ。

まあ、そりゃそうだと思いながら、そういう合理的すぎる思考というのも、落し穴があるんじゃないか、と感じることもある。

行列する人を「理解できない」というのは簡単だ。まあ、実際はそういう人が多いだろう。あれだけ並ぶと錯覚するけれど、その何百倍もの人がその周りを行きかっているわけで、行列する人は実は少数派のはずだ。

だから「理解できないよなあ」で終わっちゃうかもしれないけど、「実際に並ぶ人がいる」という事実に目を向ければどうなんだろう。

「人間は結構非合理的に行動するし、実はそこに商いのチャンスはある」と考える人の方が、ビジネスには向いているんじゃないだろうか。

考えてみれば、初詣の時だって、混んでいる神社では相当待つ。ニューヨークのタイムズスクエアのカウントダウンだって寒い中、立ちっ放しで何時間も待つ。

もしかしたら、当たりくじの可能性がある宝くじの方がマシかもしれない。

考えてみると、合理的な発想で作られたものが売れるとは限らないし、「なんでこんなもの買ったんだ」的な経験は誰にでもあるだろう。また「正しい食生活」よりも、ちょっと怪しげなダイエットの方が話題になるわけで、人は理詰めで行動しているわけじゃない。

だから年末ジャンボの行列を、確率論的にああだこうだと合理的に分析しちゃうと、結構見落としがあると思うのだ。

ちょっと話が飛躍するけれど、トランプが大統領選に勝利したことを、多くの人が「読み切れなかった」のも似たようなものなんじゃないかな。トランプは、「宝くじに行列しちゃうような人」の気持ちを掴んだように感じるし、だからこそビジネスマンとして成功したのだろう。

そう思うと、このことを採用面接で聞いてみたらいいんじゃないだろうか。「年末ジャンボの行列をどう思いますか?」って尋ねてみる。確率論を持ち出すよりも、「並ぶ人の気持ち」を考える人の方が、面白いことができるんじゃないだろうか。

でも、実際に並んでいる人を採用するかどうかは、もちろん別なんだけどね。