広告業界人は、滝沢カレンを笑えないよなあ。
(2017年3月3日)

カテゴリ:広告など

テレビでたまたま滝沢カレンが出ていて、例によって「変な日本語」なんだけど、彼女の言葉を笑えるのか?というと結構似たような言葉を使っているは多いんじゃないかな、と思う。

彼女の言葉の「変さ」には傾向があると思うんだけど、一つは「丁寧に言おうとして妙になっている」というパターンだろう。

「さんま御殿さんにお世話になりつつあります」とかみんな笑っているけど、ビジネスシーンの過剰敬語も似たようなものだ。

「ただいまより、プレゼンテーションをさせていただきたいと思います」とかも根は一緒。

そして、もう一つ感じたのが「何かいいこと言わなくちゃ」でかえって変になるパターンだ。

いわゆる「食レポ」をしていて、こんなことを言う。

「軽い味の割には、重い」

「モチモチ感がへばりつく」

「良い意味で歯ごたえがまったくない」

これって、広告業界の人が結構口にしているパターンによく似ている。

つまり「しょうもない企画をどうにかいいように見せたい」時にこういうことを言う。特に、クリエイターのアイデアがどう見てもクライアントの要望とズレている時に営業が発する言葉ってこんな感じだ。

「今回のアイデアは大胆な割には、結構緻密です」

まあ実際には「どうでもいいことにこだわってる割に、コンセプトがずれている」のだ。

そして「良い意味で」もまた、広告業界人はよく使う。

「ちょっとわかりにくいかもしれませんが、良い意味で思い切った企画だと思います」

これは、「ほとんど支離滅裂だけど、やってみれば当たるかもしれません」くらいの意味だと思っていい。

また、予算が少ないときに「めんどくせえなぁ」とか思って作ったメディアプランを出して、こんなことを言う。

「今回は良い意味で割り切ったプランをお持ちできたと思います」

これは「その程度の予算なら、この程度で勘弁してよ」と言う意味だ。

また、行儀の悪い後輩をこう言ってかばったりする。

「まあ、彼は良い意味でやんちゃなんで」

これは、相手から見ると「ただの無礼者」という程度だと思う。

つまり広告業界は、良い意味で適当な人じゃないと仕事にならないのである。