就活生じゃなくても、いきなりの電話は嫌いだと思うよ。
(2017年3月9日)

カテゴリ:キャリアのことも

そういえば、僕が大学の頃だけど、就職活動が始まる頃に一人暮らしの友人は留守番電話を購入していた。いろいろなやり取りは基本的には固定電話だ。キャンパスの中にある古い校舎に妙に落ち着くで電話ボックスがあって、そこで何度も電話した記憶がある。

昨日だけれど、日経電子版にこんなタイトルの記事があった。

「電話は嫌い、非通知出ない 人事も驚く今どきの就活生」

いや、人事が驚いていることに、こちらの方が驚く。いまどき電話が好きで、非通知に喜んで出る人を探すのは結構大変なんじゃないかな。

まあ、これだけいろんな通信手段が増えれば「電話が苦手」ということにもなるだろう。だって、そもそも電話っていうのはそもそも「失礼な道具」というところがあると思う。

電話というのは、いきなり鳴る。それが当たり前の時代には気にもならなかったけれど、何の予告もなく人の時間に割り込んでくるわけで「アポなし」だ。番号通知や留守電もあるから、慌ててとることはなくなったけれど、あまり使いたくない道具になっているんじゃないかと思う。

ちなみに僕が仕事で電話を使う時は限られていて、「できるだけ早く返事が欲しい時」と、「細かいニュアンスをやりとりしたい時」だ。たとえば原稿を言葉遣いを迷った時に、編集者と直接話す。その方が早いから。

それ以外はメールなどでやり取りするし、電話でミーティングするときはあらかじめ時間をお互いに空けるようにしている。どのクライアントでもそんな感じだ。

そういうわけで、この件については、僕は学生の感覚の方がよくわかる。「メールの返信の早さ、遅さなどの対応力も見ているという会社がある」と記事にはあるけれど、こういう会社はどうなんだろう。

ちょっと極端な切迫性を要求しているようで、どこかずれていると思う。

だいたい就活が進むほど、電話に出られないことも多い。もっとも選考が進むと、会社側も学生の時間争奪になるので、電話で話したいというのもよくわかる。ただ、その一方でお断りするときは「お祈りメール」というのもちょっとムシがいいようにも感じるのだ。

まあ、電話に限らず「話す」ことは大切なんだし、慣れておくにはいいかもしれない。

ただビジネスの世界でも「やたらと電話」という人は、かえって失礼と感じる人も増えていると思うし、そういう常識は当然時代によって変わる。

「電話で済ませる」のが失礼な時代もあったけど、明治の漱石の時代に「手紙で済ませる」ことを嘆く話を読んだこともある。

そのあたりは企業や業界によっても異なるようで、いまだにディーラーや不動産はなんでも電話で辟易することがある。学生に驚く前に「自社の基準がずれてるか」を確認するのも、ちょうどいいかもしれない。

ちなみに、この日経電子版のNIKKEI STYLEはこんな感じのテーマを扱っていて面白い記事もあるんだけど、このコーナーのタイトルはどうなんだろうか。

だって「出世ナビ」ですよ。そうか、出世のためにはまだ電話文化の世代に好かれろってことか。

ちなみに、音声とかテキストに興味がある人はこちらの名著をぜひ。相当な歯ごたえあるけどね。