最近読んだ本など。【2017年1月】
(2017年3月18日)

カテゴリ:読んでみた

本を読むのは好きなのだけれど、あまりこまめに書評を書いてみたり、記録をとっていなかった。ただ今年から、ちゃんと読了した本だけを記録してみた。アマゾンのリストにもさすがに多くなってきたし、まあタイトルだけで一覧してみたいし。

3月16日までに読んだ本が29冊で、新年から11週。別に年間何冊とか目標立てていないし、まあこんなものだろうか。

もっとも、仕事のリファレンスだと、さらにいろいろと加わるが。

というわけで、備忘録的に読んだ本の記録。

「紙の世界史」は、文字とおり紙と人とのかかわりを追った本。インターネットの登場を「グーテンベルク以来」という言説が増える中で、印刷革命を扱った本は注目されるが、この本は「紙」に特化している。どちらかというと、ある種の素材産業史のような面もあるが知らなかったことも多い。また日本の和紙の価値もよくわかる。

「近くても遠い場所」は、現在の日本に「過去の痕跡」を探る、という試みの一冊。エッセイともいえるけど、ある種の研究書でもある。米軍の占領の痕跡から、江戸時代の風俗の残滓など、日本のあちこちらから「過去への遠足」を試みた本だ。著者の木下直之氏は、少し前にタモリ倶楽部にも出演したが、その時の内容はこちら

このころはまだ正月休みで、その後に読んだ「さよならの手口」「静かな炎天」は、若竹七海の近年のミステリー。その面白さは、こちらに書いてある。デビュー作の「ぼくのミステリな日常」もあらためて精緻だ。

まだ、正月休み気分が続いていたようで3連休の間には、ジェフリー・ディーヴァーの「スキン・コレクター」を読んだ。なぜ、2015年の本をこの時に読んだのか、ちょっと前なのに今一つ思い出せない。まあ、さすがの手練手管という感じ。

「綴られる愛人」は、途中まではグググと惹かれたが、読了すると何ともコメントしがたい。なにかが惜しい。ただ、それがうまく書けないんだけど。

「かくも水深き不在」は昨年評判になった「涙香迷宮」を読む前に、同じ著者の作品を読んでおこうか、ということで。いや、よくできている。

「ベートーヴェンの生涯」は、既存のベートーヴェン像を覆しているようでいながら、文章が淡々としているあまり、その発見の意味合いがいま一つ伝わってこない。しかし、アントン・シンドラーが「捏造」したとまで言われるベートーヴェンに関わる物語は、一度光を当てなおすべきだと思う。

「娯楽番組を創った男」は、NHKディレクター丸山鐡雄の生涯を追った一冊。丸山眞男の兄なのだが、「サラリーマン表現者」としての個人を追ったのか、テレビ黎明期の背景を探ったのか、やや焦点が見えない感じがした。

SF小説で話題になった、ジャック・ヴァンスの「天界の眼」は、評判通りの面白さ。チェスタトンの「詩人と狂人たち」の新訳を読んで、クラシカルなミステリーの世界にどっぷりつかったところで、1月は終わり。

若竹七海をあらためていいなぁと思った1月だったが、「天界の眼」が収穫かな。「切れ者キューゲルの冒険」とあるけど、どこが切れ者なんだか。でも、この世界に入ると、なかなか出たくなくなるものすごい引力だ。

しかし、正月休みの勢いで小説の多い月だった。