2017年06月アーカイブ

歴史小説は、嫌いではない。というか、特定ジャンルの小説ばかり読むわけでもないので「まあ好きなものの1つ」というくらいだろうか。このカテゴリーのおもしろいところは、結構歳を重ねてからデビューされる人も多いことだと思う。

『会津執権の栄誉』(文藝春秋)を描かれた佐藤巖太郎氏も、1962年生まれで2011年にオール読物新人賞を受賞している。加藤廣が連載していた『信長の棺』を発刊したのは、なんと75歳だ。

新聞記者だった司馬遼太郎がデビューしたのは36歳のことだが、72で没しているので後半生のみで、あれだけの作品を書いたことになる。若くして書いていたら、と思わずにいられないが、やはり歴史小説を書くには「絶対年齢」が影響するところはあるのだろう。

ことに生死が紙一重の世を生きていた者たちのリアリティは、それなりに人生経験を重ねた者でないと表現が難しいのだろうか。

いや、年寄りくさい話になったけれど、この小説は構成が緻密で人物もクッキリ描かれていて、かつちょっとしたミステリアスな趣向もある。 >> まだ戦国には鮮度がある~『会津執権の栄誉』と『駒姫』【書評】の続きを読む