2017年09月アーカイブ

もはや、広告制作の現場で仕事することは殆どないけれど、だからこそというか、「どうしてこの企画になったんだ?」といろいろ想像したくなることはある。

大概の場合「企画書が透ける」ような感じで、ミランダ・カーが黒烏龍茶に出れば「ああ、ターゲティング変えてきたな」と大変わかりやすいので、講義などでは重宝する。もっとも、そのまま烏龍茶に出てきて「口さっぱり。息すっきり。」とか言われると、ポジショニングが迷走してるんじゃないかと心配にもなるが、まあ、意図は読める。

で、最近気になっているのがとあるタワーマンションのコピーで、それは「日本一、感じのいいタワマンへ」という物件だ。場所は東京の武蔵小山というあたり。

そもそも、少しでも広告制作にかかわった人なら「最上級表現」には敏感なはずだ。「ナンバー1」とか言う時は、根拠を明示しなくちゃならない。

しかし、どうやったら「感じのいい」という感覚をランキングできるのか。よく見ると「日本一」というコピーの脇には、※1という表記がある。

で、下の方にはこの再開発プロジェクトの「気持ち」みたいなことが書いてあって、「日本一、いつまでも愛されるまちづくりを目指します」ということだった。まあ、目指すなら公取委も文句言わないだろうけど、そこまでして「日本一」にこだわる執念はなぜなのかも気になる。

そして、わざわざ「感じのいい」という言葉を選んだことが一番気になる。ということは、タワーマンションと言うのはそれなりに「感じの悪い」ものがあるんだろうか。建物が威圧的で感じが悪いのか、住んでいる人に何か特徴があるのか。プレゼンテーションで、そんなこと言ったのか。いや、いろんな切り口からこの物件を「感じがいい」と定義して、しかも日本一を目指すというのは、どんな企画書だったんだろ。

まあ、どうでもいいことかもしれないけど、一度サイトを覗いてからやたらと広告を見るとの、そのたびに気になってしょうがないのだ。

で、さらに個人的に気になるのが「タワマン」だ。というのも、タワーマンションを「タワマン」と略すことが、僕の感覚だとあまり「感じがいい」とは思えない。

横文字をカタカナにしてそれを縮めるのは日本語の得意技だし、エアコンとかミスチルとか昔からあるけど、最近で気になるのは「スマホ」「コスパ」「タワマン」で、これはなんだか引っかかる。

理由は分からないけど、こればっかりは感覚的なものなので、どうにも説明しようがない。ちなみに「ファミコン」や「パソコン」はまあいいんだけど、「スパコン」は違和感があるんだよな。

というわけで、「感じのいいタワマン」という、個人的にはあまり感じのよくない語感の物件はどうなるのか。別に個人的には何の関係もないんだけど、なんか引っかかっているのだった。