ゴディバ、義理チョコ売ってるってよ。
(2018年2月13日)

カテゴリ:マーケティング

先の連休はどこへ行っても、「バレンタインモード」だったけれど、戦線の拡大はコンビニにまで及んでいる。

近所の店は広いこともあり、一番目立つところにゴディバが君臨していている。メリーやらモロゾフらを下に従えて、まさに王様。

しかし、ここはコンビニである。なんというか、「日本に来た某国の大統領が区議会で気炎をあげてる」ような感じがしないわけでもない。

そして、ゴディバは例の「義理チョコやめよう」というありがたい教えを、日本人に広めようとしている。
ここにあるゴディバは6粒1,000円だ。これが「義理」として贈る人がいるかどうかはわからない。1粒ずつにして配ってもいいのだから、そうなれば十分「義理」の範疇だろう。

でも、「ゴディバ結構大変なのかな」とも思ったりする。というのも、ゴディバの店舗は日本中に溢れている。贈答などでは一定のありがたみがあって、「間違いないブランド」だ。でも「考えて選びました」というブランドではないと思う。

最近はアウトレットにも出店していて、賞味期限間際の商品は安く売られている。5月の連休とかだと、小さなサイズのものをたくさん買い込んでいる人がいるけれど、おそらく職場などでばらまく土産だろう。

なんというか、日本におけるゴディバのブランドポジションはそういうところに来ているのだ。

知名度はあり、ステイタスも高い。でも、心から愛している人はどれだけいるのか。バレンタインに限らず「気合を入れて買う」ような時であれば、いまの日本には相当の選択肢がある。

とはいえ、それは東京など大都市の中心に集中していることもあるから、ゴディバとしては戦線を拡大していくことになる。ショッピングモールに出店して、コンビニにでも売る。ブランドの価値が希薄化していくのは承知の上のことだろう。

かつてピエールカルダンというブランドが、スリッパから野球帽まで戦線を拡大してしまったことがある。このあたりはハーバードビジネスレビューのこうした論文でも出てくるんだけど、ゴディバも難しいところに来てるんじゃないか。

そんな状況で、「義理チョコをやめよう」という日本へのメッセージだ。でも、コンビニではああいう商売をしている。

「キチンとした身なりで立派なことを言っているけれど、よく見たら下半身は服を着ていない」

そんな人がいたら、誰だって変だと思うだろう。でも、いまのゴディバはそんな状況なんじゃないか。

ふと、思い出したのは「裸の王様」という話だ。アンデルセンの童話は有名だが、開高健はそれを換骨奪胎した小説で芥川賞をとった。

コンビニの棚に君臨する、チョコレートの王。しかし、その姿はどこか哀しい。そんなとことから日本人に向かってご託宣を述べられても、苦笑いをしたくなるだけなんだけど。