リクルートがいきなり「リクナビの7つの約束」を掲げた。
7という数字は一種の神秘数である。そして、もっともクラシックなケースがキリスト教における「7つの大罪」だ。少々皮肉な見方であるが、この約束が仮に「今まで実行されていない」のであれば、語尾を否定形にしただけで「7つの大罪」に変わってしまうだろう。
いや、「今まで実行されていたか」については、ここに書いていないし、私も詳細を知らないのでコメントできない。できていたことを、改めて宣言されたのかもしれない。
ただ、唐突に感じた、ということだけである。
しかし、一番大切なことは、あの「約束」には書かれていない。それは、当然のことなのだが、とても大切なことだ。
それは、就転職ビジネスはあくまでも、企業がお金を払っていることで成り立っているということ。そして、その企業情報は本質的には「広告」であるということだ。「ジャーナル」という名のつくメディアもあるが、そこには企業に対してのネガティブな情報は見られない。
就活ナビ、というのは企業がカネを出すショーケースなのである。ショーケースの運営をいかに改善しても、広告情報の塊を見て就職を決めることには一定のリスクがあることに変わりはない。

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(2010年6月2日)

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家族の知り合いが「突発性難聴」になったと聞いた。50代の女性で、ストレスが原因ではないかという。既に子供が独立して、ご主人は退職しているらしい。それを聞いて思わず
「そりゃ、原因はご主人だろう」と言ってしまった。
これには、理由がある。過去の経験からして「首からの上の不調」というのは、「同じ空間にいる人から受けるストレス」が原因になっていることが多いからだ。ちなみに、その方のご主人がそもそも体調を崩されたことが原因のようだとあとで聞いた。
会社にいて新人研修を担当してた頃、配属された新人がコンディションの不調を訴えてきたことはよくあった。
中に頭痛が治らず、夜中にも激しい痛みを訴えて大学病院に運ばれて、CTスキャンまでとったけれど「異常なし」という新人がいた。
僕は、直感的にストレスだろうと思い、周囲にヒヤリングして出した「治癒法」は席替えだった。これで、どうにかなった。
特に医学的な根拠はなく、まったくの経験則なんだけど「耳鳴り」「頭痛」さらには「眼のチカチカ」あるいは「首が回らない」ような症状は、「同じ職場にいる人によるストレス」をまず疑ってみた。
当人が症状を訴えたら、医学的診断も必要だけれど「もう1つの仮説」として準備しておくのである。最近は、カウンセラーなどの産業医に相談しやすい環境も整ってきたが、やはり人事でなくてはできない「治癒方法」があると思うのだ。

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就職戦線は厳しいと言うものの、学生によっては結構重複内定が多い。 知らない学生が、そんなことで相談のメールをよこして来ることもある。とある学生はXYZの三社から内定をとった。XとYは総合広告の上位で、Zは業態はやや異なるもののこちらも情報産業の雄である。 で、どこがいいだろうか?ということで大体学生の腹積もりは決まっているようだけど、会うことにした。 そこで聞いて驚いたんだけど、なんと内定後に採用担当者からこう言われたらしい。 「今年の広告業界志望の学生のレベルは低い」 わざわざ、どうしてそういうことを言うのか。Y社とZ社の担当はそう言ったと聞いて、思わず「その2社はやめたほうがいいだろ」と言いそうになったが、それが理由かはともかく、本人はX社に行くつもりのようだった。 しかし、これって、何なんだろうか。まず、採用担当として、というか社会人としてかなり傲慢なんじゃないか。これじゃ内定者だって、首を傾げるだろう。 それに、人気が低下したというなら、それは企業側の責任。ここで、内定者に八つ当たりしてどうするのか。 それより問題だと思うのは「学生のレベルが低い」と嘆く、人事担当者の気概のなさ。これには、驚く。 学生の質は、たしかに毎年微妙に変わる。しかし「今年のカツオの水揚げ」というような感覚なら、人事なんかやらない方がいい。魚は釣り上げた時点で価値が決まるが、人材は採用後にいくらでも変化する。 まっとうな会社なら、入社時の評価と20年後のそれを必ずしもきちんとトレースしているはずだ。そうすれば、入社時評価があてにならないことも理解しているだろう。 ちなみに、僕が見る限りこうした低下は特に感じない。まさか、と思うような逆転内定はどの業界でもなく、きちんとした企業にはそれなりの人材が集まっている。 そもそも内定者に、こうした話を軽々にするというのは他の業界では聞いたこともない。その上興味深いことに、こうした緩みは会社のパフォーマンスの反映のようで、人事の態度はXYZ三社の業績動向と奇妙な一致を見せるのだった。 ああ、怖い。



(2010年5月26日)

カテゴリ:キャリアのことも
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「配属が決まった」という挨拶が、新入社員から舞い込んでくる。
会社によっては、1週間程度で配属してしまうところもあれば、仮に配属したとしても9月頃までは「試用」ということで基本残業はなし、という企業もある。ただ、どちらかというと新人も会社も「即戦力」志向のようで悠長な職場は減っているようだ。
というわけで、人事にとってはそろそろ「不適応」問題が気にかかる季節なのでもある。
この職場不適応は、当人と環境のそれぞれに原因があるのだけれど、僕が以前から新人に対して言うのは結構シンプル。
「とにかく先手をとる」それだけだ。
仕事が後手に回って、焦ってミスして、落ち込んで。このサイクルに入ればやがて不適応になっていく。アタマの回転がよくて、学生時代までは「ギリギリ追い込み」が得意だったタイプなども意外に陥りやすい。
もちろん社会人でも「追い込み型」はいて、こういう先輩は妙に格好よく見えることもあるけど、ルーキーが真似るのは危険だと思う。新人はとにかく「先回り」をして、先行逃げ切りを図るしかない。それでも、逃げ切れないこともあるんだから。
具体的に言うのは、周囲に対して常に「御用聞き」に徹するということ。

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連休中にホームページ経由で、知らない大学生からメールが届いた。
来春から、大手広告代理店に勤めることに決まったらしい。複数社から内定をもらったそうだ。
メールの内容は、広告費についてのリポートの感想、および質問。質問の内容は、配属希望についてだった。少々気が早いかもしれないが、まあ気にするのはわかる。ただ、こんんな表現だった。
「一番刺激を受けられるクライアントはどこでしょうか?」
さて、既に社会人として働かれている方だったらどのように答えますか?あなたが学生だったら、どんな答えを予想しますか?
僕の回答はカンタン。「”刺激を受けられるクライアント”という発想自体を捨てること。どのクライアントに対しても”刺激を与える”のが君たちの仕事」。
その発想で、一年後まで世の中を見ていくように。それが僕の答えだった。
そこで、ふと思ったのだけれど、ここ何年か就活学生と話をすると「自分が成長できる環境」という言葉を聞くことが多かった。

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