shibuya東京の街を歩いて、「昔はここに」という話になったら、十分に年寄りだと思うけれど、僕は20代の頃から結構好きで古地図の本などを買っていた。

ただ、時折「エ?」と思うことはもちろんあるわけで、先日『落陽』という朝井まかでの小説を読んでいたら、意外な文章に出くわした。

この本は明治神宮造営までのプロセスを追ったフィクションだが、関わった帝大の博士などは実名で登場する。当時の東京の描写もとても生き生きしていて引き込まれた。

そして、主人公たちが神宮の造営予定地に立つ場面があって、そこから見た風景が描かれる。

「淀橋の浄水場」はわかる。いまの新宿西口の高層ビルのあたりだ。「瓦斯蔵」つまりガスタンクも見当がつく。いまのパークハイアットだろう。あの敷地にはいまでも東京ガスの施設がある。

けれども分からなかったのが「渋谷発電所」だ。まず思いついたのが「電力館」なのだが、あそこは元々区役所があったところらしい。そして、検索してみると東京都交通局のウェブサイトに行き当たった。交通局はいまでも多摩川で発電するなど電気事業もしていることを初めて知る。

そして、「電気事業の歴史」というページの冒頭にはこうあった。 >> 「渋谷発電所」って、どこにあったんだ?の続きを読む



長時間労働で疲弊した社員が自殺したケースについて、会社側の責任を認めた司法判断が確定したのは2000年のことだ。この判決は会社の安全配慮義務などの責任を認めた画期的なもので、人事業務に携わる人はもちろん、法曹の仕事に関わる人にとっても重要なケースだった。

この時の被告となった会社は電通で、自殺した社員は新人の秋頃から勤務時間が増加し、入社2年目の夏に命を絶った。1991年のことだった。

それから四半世紀が経ち、昨日、電通社員が同様の状況で自殺して労災認定されていたことが明らかになったが、彼女も1年目だ。

今回の事件では、疲弊した彼女のツイートなどが残っていて報道もされているが、あまりにも悲痛だ。

この職場の実情についての推測などは一切するつもりはないが、改めて自戒をこめて一つのことを書いておきたい。

それは、単純だ。こういうケースについて、かつて長時間働いた経験のある人間が「自分はもっとたくさん、○○時間働いた」ということは全く意味がない。むしろ、苦しんでいる人をさらに苦しめるだけだろう。

たくさん働いても平気な人がいる。一方で、勤務時間に関係なく疲弊してしまう人もいる。実際に命を絶った人のケースはさまざまだ。だから労働時間の長さ「だけ」が原因とは限らない。理由が複合的なことも多い。

ただし、長時間労働が恐ろしいリスクになることはたしかだろう。睡眠不足は判断力を低下させて理性を失わせることがある。孤独な作業は、過度な心理的圧迫を招く。

そういう経験を乗り越えたとしても、それは長時間労働を正当化しない。

「自分は大丈夫だった」というのは勝手だ、という意見もあるだろう。しかし、そう言った言葉自体が、また見えない圧迫を生む。

そして、見えない圧迫こそが長時間労働がなくならない最大の原因だ。

「俺の若い頃は**時間働いた」「海外の連中だって無茶苦茶頑張るやつがいる」「私の睡眠時間はたったこれくらいだけど平気」

そういう言葉は、胸の中にしまっておこう。

それが、彼女の無念に対して、また同様の環境で苦しんでいる人に対して、まず僕たちができる最初のことじゃないだろうか。

【追記】ちなみに自殺については「自殺稀少地域」を分析したりレポートした下記の2冊がとても示唆的だ。職場にも応用できる話だと思うし、「稀少地域」の条件を満たしていない職場は多いと思う。こうしたアプローチはこれから重要になるだろう。



糠漬けを入れているホーローパックのパッキンが古びてきたので、注文した。

ネットで消耗品のナンバーを調べて、それを最寄りの店舗に電話で発注する。そして、入荷後に取りにいくという段取りだ。

簡単なやり取りがあって、「入荷は10月1日になります」という。はい、わかりましたでおしまいかと思ったらこう言われた。

「お電話は大丈夫ですか?」

思わず聞き返ししてしまった。僕の電話が異常なのか。いや、きっと電話を掛けるかどうかだと思うんだけど、「大丈夫ですか?」と言われてもわからない。

「おでんを食べませんか?」ではないと思うし。

で、彼の意図は「入荷のお知らせは電話しなくてもいいでしょうか?」という意味だったらしい。10月1日以降であれば開店後はいつでもありますよ、と。

「大丈夫」という言葉は、「丈夫」に「大」がついている。元の意味は「立派な男子」で、まあ、それが派生して「任せておける」みたいな意味になって、「無事」のようなニュアンスでも使う。

ただ、もう10年以上前から「OK」みたいな意味でも使う人が増えてきた。ただ、これも相当変だ。

飲食店などで「お皿、大丈夫ですか?」と言われたら、下膳してもいいか?ということで「皿が割れてませんか?」ではない。ただ、「お酒、大丈夫ですか?」となると「もう少し飲みますか?」という意味だと思う。

別に、「酔ってませんか?」という意味ではないんだけど、もう相当に適当だ。 >> 「大丈夫」という言葉が、とても大丈夫とはいえない件について。の続きを読む



img_1925先日久しぶりに武道館に行った。もう何十年ぶりか、という感じだったが歳をとると見るところが違うものだ。

南2階席に入った途端に、いきなり妙なことに気づく。

正面に「日の丸」が、見下ろすように掲げられているのだけど、「あ、これは参拝なんだ」と感じた。

武道館の日の丸は、どのようなイベントでも掲げられているが南を向いている。そして、舞台は北に設営される。

つまり、客は日の丸とアーチストをともに見るのだけど、これは「拝む」ことにもなる。多くの神社の本殿は南に向いているが、武道館の方位はそれと同じなのだ。設計に際しては方位にこだわったのだろう。座席ゾーンの名称が方位になっているのは必然となる。

ちなみに、南に向かない場合は東向きとなる。すぐ近くの靖国神社がそうだ。

ただ、地図で見ると靖国神社の参道はやや北向きだし、武道館も真北を向いてはいない。その結果、武道館の南北軸と靖国神社の参道が90度になっているように見えるのだけれど、意図的なのだろうか?

そんなことを考えつつ、ふと思ったのだが、テレビで観る相撲はどうだっただろう?あまり観ることはないのだが、たしか左側が東のはずだ。 >> 武道館は「参拝」で、大相撲中継は「神の視座」だった。の続きを読む



img_1685今年の台風は北に厳しい。北海道は相当の範囲で被害を受けているし、東北でもかなり大変だ。集落の孤立や農作物の被害などはニュースでも報じられるが、東京にいると実態がつかみきれないことも多い。

落命することはなくても、生活の基盤には相当の影響が出ているようだ。それを、たまたま購入したショップからのメールで知ることもある。

「nekozuki(ねこずき」という名前で猫グッズの販売をしている会社が岩手にある。ここで、グッズを買っていたことがあったのだが、場所は失念していた。ところが、メールによると、相当の被害だという。

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いつもnekozukiをご利用いただきありがとうございます。

8月30日に発生した台風10号の影響で、工場が甚大な被害を受けました。

昨日9月2日まだ通行止め箇所が多数で辿り着けるか不明でしたが居てもたってもいられず、10時間以上かかりましたが現地へ到着し状況確認をしてきました。

幸い工場の方々に人的な被害はありませんでした。nekozukiのスタッフにも被害はありません。

ただ工場の機械設備、材料等すべて濁流に飲み込まれるという想像以上の被害でした。

2011年の津波、今回の台風と自然の厳しさをあらためて思い知らされました。 >> 台風で被災した、岩手の「nekozuki猫好き」というショップのこと。の続きを読む