「オレの愛したソニー」という連載記事が話題になった。

ソニーという企業は不思議なもので、社員でもないのにやたらとソニーに詳しいという人がいる。いわゆる「ソニー本」のマニアという感じだが、そうでなくても日本人の関心を惹く企業であることは間違いない。

個性豊かなOBたちのインタビューは、お話としても面白いし、経営を考える上で学ぶことも多い。歯に衣着せぬという表現通りで、存命の経営陣もバッサリだ。それにしても、現役社員の気持ちはどうなんだろう。

で、僕がずっと引っかかっていたのはタイトルだ。これは、編集部がつけたものなので、ソニー自体とは関係ないのだけれど、このフレーズにピタリとくる企業名はそうそうないのではないだろうか。

まず、「愛した」という時点で擬人化されている。つまり、ブランド・アイデンティティが強烈じゃないと成立しない。

そして、何といっても一人称が「オレ」だ。つまり、男性である。ここでは対象が「女性的」なパーソナリティでないと、成立しない。

「オレが愛したクレーム・ブリュレ」ならまあいいけど、「オレが愛した納豆蕎麦」では、成り立ってくれない。「カレー南蛮」も厳しくて、「一枚のせいろ」ならどうにかなるのか。

いや、そういう話ではない。 >> ソニーという女神を巡る、男たちの愛憎。の続きを読む



いやぁ、英国がやってくれた。僕は世論調査よりもブックメーカーの予想を信用していたので、そういう意味でも驚いた。

SNSなどで見ているけれど、周囲の人間はこの結果をマイナスに受け止めているし、市場の動きがすべてを物語っている。「つながる世界」の一端が綻んだのだから、日付変更線に近い東京がもろに嵐をかぶることになった。

僕なんかよりももっとたくさんの外国人と仕事しているような人は「周りには誰一人離脱派はいない」と言っていた。どこかで聞いたな、と思ったけれど「離脱派」を「トランプ支持派」と読み替えれば思い当たる。

つまり、いま現役世代でビジネスの前線にいる人と、それ以外の人には大きな溝ができているのだろう。これは、世界中、というか先進国中心に起きている現象だと思う。

英国でも50代以上で離脱派が優勢だったようだが、つまり「自分は世界とつながってない」と思ってる人なんだと思う。

国境を超えた「グローバル」な社会への嫌悪や懐疑が、想像以上に広がっているということか。

本音を言うと、僕だってそれほど「グローバルなつながり」に振り回されたくはない。自分の幸せは、半径10メートルで実現できればいいんじゃないか?と思う。 >> 高齢層が推した「EU離脱」で、ドリアン・グレイを思い出す。の続きを読む



フジロック・フェスティバルが、ザワザワしている。

今年、政治団体の代表が出る、ということでネット上では疑問や不満が出てきた。その反論が出て、まあ収拾がつくわけでもない。みんな、いろいろ勝手に言っていて、それ自体がフェスなんじゃないかと。

僕は、最初に違和感を感じた人の気持ちがわかる。それは、「音楽と政治的メッセージ」云々という話ではない。毎年楽しみにしている、フェスの場に余計な風を吹かせないで欲しいんじゃないかと。だって、音楽ファンが期待してなかった人が出てくるんでしょ。

そのうちに、いろんな記事を見るようになったけど、可笑しかったのは「音楽はそもそも反体制」という説教記事だった。

ジャズもロックも、あるいは能もコミックもすべてのアートはそもそも反体制という有難いご託宣だ。もちろん、歴史的にはそうだろう。「若い人は知らないかもしれないけど」というお話だ。

ただし、それは「そもそも」の話だ。あらゆる音楽は聴衆と関係を結んでいく過程で、段々と変化する。当初は反体制・反権威かもしれないが、当然のように変わる。 >> 「音楽は反体制」という説教の息苦しさ。の続きを読む



IMG_1712ルイ・ヴィトンについての強烈な印象は、18年前のロンドンのホテルだ。

ちょうど今頃だったが、エントランスにフェラーリが止まっていて、それだけなら驚かないのだが、ナンバープレートがアラビア文字だったのだ。

聞いたところによると、中東からバカンスのご一行が来ているらしい。

やがて、一人だけ民族衣装に身を包み、他はスーツという「大名行列」がロビーを横切っていった。

そして、その列の最後に高く積まれたルイ・ヴィトンのバッグがワゴンに乗せられて静々と動いていく。これが「正しいルイ・ヴィトン」なんだな、とつくづく感じた。

ちなみに、この旅はダービーがきっかけだった。スペシャルウィークとボールドエンペラーのおかげで相当の収益を得たので、敬意を表して英国に行くことにしたのだった。

昨日、麹町の「ルイ・ヴィトン展」を見た。一貫したテーマは「旅」だ。そして、ルイ・ヴィトンの機能性と革新性を前面に押し出した展示だったと思う。 >> ヴィトンの旅、ヴィトンとの旅。【ルイ・ヴィトン展@TOKYO】の続きを読む



舛添都知事が辞めるそうな。

駒崎広樹氏が、『舛添さんを「セコいこと」で責めないで』というブログを書かれていたけれど、本質を突いていると思う。都政の問題は、もっと別のところにあるだろう。

それにしても、今回思ったのは、「じゃあ、誰がセコい知事を攻撃したのか?」ということだ。

まあ、単純に言うと、それは「もっとセコい人」だと思ってる。それは主に高齢者だろう。メディアやリアルでいろいろと観察していると、そう感じる。

都庁には3万もの抗議があったというが、僕の周辺では「それより、ちゃんと仕事しろ」という人が多かった。よく考えてみると、現役でビジネスに関わっている人はそう考える。よほど暇じゃなきゃ、都庁に電話しないし、「仕事してる人に迷惑だ」と思うでしょ。

まあ、平日のワイドショーとか見てるのも、リタイアした暇な人が多い。この手の世論なんてその程度だ。そして、マスコミはヒマな高齢者に迎合して、くだらない質問をする。もっとも、その答えも相当に酷いようだが。

そして都議が聞く「世論」も年寄り中心なわけで、あっという間に知事を追い込んでしまった。 >> セコい都知事を攻撃したのは、もっとセコい高齢者だったんじゃないか。の続きを読む