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社内の風景は会社によって、結構ちがう。

そして、会議室の雰囲気は、まさに風土を表していると思う。一番わかりやすいのは「壁」じゃないだろうか。

広告会社は、僕が入社した30年前から(と書いて今年で卒業30年であることに初めて気づいて驚いた)、壁は「使うもの」だった。

とにかく、何かを貼る。企画だったり、切抜きだったり、壁はキャンバスみたいなのものだった。

つまり「みんなでワイワイ考える」ことが、はなから当たり前だったのだ。

そういう雰囲気は、まだ他の業種では少なかったけど、段々と当たり前になった。コピー機付きのホワイトボードなどが広まった。六本木ヒルズができた時に、たしか壁面をボードにしたような部屋があったと思う。

そして、いろんなところで「ポストイット」が普及した。小さいものを栞にするのではなく、大きめのものに書き込んで持ち寄り、分類していく。いわゆるワークショップの技法も一般的になったが、この普及には広告業界の関係者も相当関わっている。

ことに地方自治体などにも持ち込んだようで、「村おこしの会議に集まった青年団」とかのニュースを見ても、ポストイットがペタペタだ。それが「民主的」だと布教をした人がいたのである。

ただし、最近は相当副作用が強いんじゃないだろうか。 >> ポストイットに罪はないけど、「ワークショップ」は要注意。の続きを読む



そういえば、先週は同年代の広告関係者と会うことが他にもあった。
彼は、ほぼ同年代で、会社は違うのだけれど、社外活動でいろいろと一緒だった。お互い「自社代表」みたいな感じで、シンポジウムとかでパネラーを務めたりしていた。広告業界でも、リサーチャーどうしは仲がいい。営業どうしは、そうも行かないこともあるのだろうけど。
いろいろ話していて、「ワークショップ」の話になった。僕は、安易にワークショップを提案しない方がいい、という考え方なのだ。それは、彼とも一致した。
「特に若手をワークショップのファシリテーターにするのはよくないよ」と僕。
「だよね~まず企画ができてから、ワークショップ運営するならいいけど」
「あれで、仕事した気になるんだよな」
「そうそう」
「ワークショップなんて”鍋料理”なんだよ。まず、ちゃんと料理の修業してから”鍋もあります”ならいいけど。初めから”鍋専門店”じゃ腕は上がらないでしょ」
「でもね~山本さん。その”鍋料理”が食べたい、っていうお得意先も多いのよ」
「へ~。何かできた気になるからでしょ」
「あと、社内調整。つまり、こういうご時勢だからみんな責任取りたがらないでしょ。特に広告とか”説明責任”が大変じゃない」
「たしかに、そうだよね~。どの会社でも広告予算の責任者って大逆風でしょ」
「でしょ~。だから、代理店としては彼らを助けるのが最大のミッションだから」
「だったら、みんなで”鍋料理”か~」
「もう、味付けなんてあったものでなし」
「そっか~、”みんなで作って食べました”が大切なんだ」
というわけで、じゃあホントに広告代理店の付加価値って何よ?と言うことになるわけで。
まあ、僕もワークショップをすることもあるけれど、その場合はかなりの「下ごしらえ」をする。味付けの方向もかなり固めておく。
ワークショップがよくない、というのではなく「お互いをマッサージしましょう」みたいな妙なミーティングが多いのが気にかかる。
そういう話であった。