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「学芸員はがん」と言った大臣が、発言を撤回した。

これは、二重の意味で残念だと思う。一つは明らかな罵り言葉で失言したこと、もう一つは美術館や博物館をめぐる議論の機会が失われかねないことだ。

芸術などの世界では先導者の役割が大切だ。たとえば、いまの日本美術への関心が高まったことの一つには、『奇想の系譜』などで知られる辻惟雄氏の存在が大きい。

学芸員という存在はあまり知られていなかったかもしれないが、最近は表舞台に出ることもあるし、その力量が施設や展覧会を左右する。英語ではcurator、一部の方の大好きな「キュレーション」というのはこの辺りが語義になる。

昨年の大みそかにNHK教育テレビ、どうもEテレとか言いたくないけど、そこで「ゆく美くる美」という企画があった。日曜美術館の特別版みたいなもので、美術シーンを回顧して展望する。何名かの学芸員の方が登場していて、その見識や発想がさすがだなと思った。

で、観光との兼ね合いからああいうことを言ったようだが、たしかに優れた企画は人を動かす。僕は今年になってから、熱海のMOAのリニューアルを見たくてわざわざ行ったし、茨城の方で人に会う用事は水戸の展覧会に合わせた。唐招提寺の障壁画が見たかったのだが、遠方からも来ていたようだ。 >> とはいえ学芸員が「聖域」になったら、それはまた違うと思う。の続きを読む