広告代理店、という表現、というかコトバを好まない人がいるらしい。広告会社、と呼ぶべきだと考えているようだ。
僕は「広告代理店」と書くがこれには意味がある。代理店=agencyはagentのいるところである。agentは「できないことを、代わりに実行する」人だ。まさに代理店である。
つまり、プロの中のプロなのだ。だが、あくまでも「代理」である。別の者に代理させた方が良い、ということならたちまち失職する。そういうリスクを背負いながら、プロとして働く。「代理店」という言葉には、そうした誇りと危うさがセットになったようなところがある。
それが、広告代理業の真実だと思う。
自分自身も在籍中は「広告代理店に勤めている」と言っていた。それには、こうした理由があったのだ。
むしろ「広告会社」にこだわってから、魅力を失っている部分があるような気さえする。
僕の記憶では入社した直後くらいから「広告会社と呼ぶ」ような動きのようなものがあった気がする。それは僕より上の世代である。当時経営に携わっていたかなり上の人だと思う。
彼らは代理店という言葉が「胡散臭い」と思われながら、頑張ってきたのだろう。だが、「代理」というプロの行為に誇りを持てずに、呼称を変えようとでもしたのだろうか。
過去のコンプレックスから、表面的なコトバ狩りを行おうとしたのか。しかし、半端な会社ゴッコほど恐ろしいものはない。誇りを持たせたいのなら、水準の高い仕事を若手に与えればいい。それを獲ってくるのが経営者の本来の仕事のはずだ。
いかにagentとして「クライアントができないこと」をやり遂げたかどうか。広告に関わる人の評価基準は、単純にその一点にかかっていると思う。