広告代理店の営業キャリアのことについて、コミッション・ビジネスとの関係で書いたのだが、問題点を指摘したままというのも、何となく気になるので、しばらくは広告業界におけるキャリアデザインのことを考えてみようかと思う。
僕が10年位前に、会社の先輩に聞いた言葉で大変印象的なことがある。
「90年代に入って、広告代理店を始めとする"ギョーカイ"の情報優位性が急速に低下した。これが、一番の問題点だと思う。」
情報優位性とは何か。彼のコメントをまとめると、つぎのようになる。
「80年代までは、世の中の流行や、業界動向はもちろんのこと、消費者やメディアなどのマーケティング・データ、さらには飲食店から風俗にいたるまで、クライアントに対して"情報優位"」であった。
だが、今はクライアントも硬軟合わせてさまざまな情報を持っている。もはや情報優位性を保つのは困難だ。。
これは、インターネット以前から起きていた。バブル期に、ギョーカイ的な遊びが一般化して、かつマーケティングモドキの企画が次々と表に出てしまった。
そうして舞台裏の大概が透けてしまった時に、インターネットだ。
これからは、ちょっとやそっとのことでは、優位性は築けない。そうなると広告のプロにモノを頼むありがたみがない。ただ、コミッションにしろフィーにしろ、根拠があるようなないようなものなので、この"ありがたみ"が薄れると収益は悪化する一方になってしまう」
そんな話だった。
つまり、クライアントが納得する「ありがたみ」をつかむことが、個々人のキャリアでも重要な視点になってくると思う。
ただ、この「ありがたみ」が実にさまざまなのである。そうなると、80年代を未だビジネス感覚の規準としているような広告業界人の助言は少々怪しくなってくるのである。