
広告の件は一休みして、ちょっと気になる世論調査のことをもう一度検証しておこう。ちなみにこれは政治に関するコラムではなく、マーケティング・リサーチについてのおさらいと、報道数字に関する基本的な吟味についてのお話である。
8月の福田改造内閣で、報道各社ごとの支持率がなぜ異なるかを検証した。その際に考えるべき着目点は2つあった。
①支持率が高い調査では不支持率も高い
②「関心なし」が低い場合は、支持も不支持も高くなる
③その結果「支持+不支持」の数値は大体80~90とばらつく
④そこで各社を比較するためには「支持率シェア」で見る
ここでいう支持率シェアは「支持率÷(支持率+不支持率)」である。つまり相対シェアだ。
本来の支持率は絶対シェアで見るべきだが、報道各社によって「支持率+不支持率」の数値がばらつくので、比較のためには相対シェアで検証しようということである。
さて、今回は最も高い日経が53%で、最低の毎日が45%であった。
高い順に左から並べて、支持率シェアを見るとおもしろいことがわかる。
日経の支持率シェアは朝日と並びほぼ最低の57%。毎日の支持率シェアは最高で唯一60%を軽く超える。「支持率+不支持率」の数字が大体80%くらいになることは前回も検証したが、今回は日経が90%超と張り切った(?)のに対して、毎日はほぼ7割。
私が企業のマーケティング担当で、もしこの5社がリサーチ会社だと仮定する。どう考えるか?
気になるのは、この毎日の「計71%」である。
日経が妙に高いのも気になるので、サンプリングなどは検証したい。だが分析できる対象データが多い分には、そこでバイアスがあるかをあとで確認・修正できる。少ないとそれも苦しい
そうなると、毎日のような調査会社に発注するのはためらうであろう。
無回答が3%で、「関心がない」が27%。したがって、見た目の支持率は確実に下がる。問題は、他社に比して無回答・無関心の率が明らかに高すぎることだ。一般的に考えると、サンプリングや調査員の質、最初の質問の投げ方、などテクニカルな面に問題があるのでは?と考えるのである。
毎日は前回の検証でも80%を切っていて他社に比べて低かったが、今回はちょっと「妙」な気がする。
ひとつの問題は、この「45%」というのが一人歩きすることだ。少なくても「回答者の間での支持」は毎日が最も高い。無関心層が多いサンプルで、絶対シェアを出せば、低くなるに決まっている。(もちろん逆なら高くなる)
新聞が意図的な世論操作をしているとは、思ってもいないし、思いたくもないが、調査の技術が曲がり角を迎えていることは明らかに思える。マスメディアに対する、根拠なき誹謗が散見されるが、こういうデータを見ていると、メディア側にもつけ込まれる余地が多すぎると思う。
しかし、ここ数日のハプニングでこの数字については、既に大きく変動している可能性も高い。そういう意味では分析するのも、何だか空しいのだけれど。