
ポジショニングというと、十字を切った4象限上にブランド名やらをプロットして、ああでもない、こうでもないとやることだと思われている方は結構多い。
別に間違っているわけではなく、競争的ポジショニングという観点では、「それもあり」なのだけど話はそう簡単ではなくなっている。
そうあんると、今どき企画書にこういう十文字のマップを出して来て「ポジショニングでございます」というプレゼンテーションがあった場合は、そのプランナーとか代理店のスキルを一度疑った方がいいかもしれない。
なぜか?マップを作って空白を探すようなプランニングは、市場の成長期には結構効くのだけれど、成熟期になるとかえって危険だと思うからだ。
では、その危険な理由とは何か?ともう一段考えてみよう。
それは、「マップの空白は市場(つまり顧客ニーズ)の存在を意味するとは限らない」ということを忘れがちだからである。おそらくポジショニングを考えて空白を見つけて安心したとこで、思考を止めたのだろう。ポジショングは考えたのに失敗したケースは、殆どかこれだと思う。
そして、このような「マップの空白狙い」は「代理店マーケティング」の最も危うい側面でもある。かつては、この空白に無理矢理「生活提案広告」を押し込んでも、そこそこ乗ってくれる消費者がいたのである。ところが、現在はそうはいかない。それに気づかずに、ポジショニングマップをもてあそんでいるのに事業主が付き合うと、とんでもない目にあうかもしれない。
くだらない例を考えてみよう。図のように飲食店をポジショニングしたとする。普通「高くてまずい」店は支持されないので、ここに空白があった。ところが「ここにチャンスがあります」と言って、どうにかしてまうことはできるだろうか?
「個室を多くして、密会に使えれば成り立ちます」
これはたしかに、そうだ。実際に味よりもそういう用途のためで成立していた店はある。
翻ってみると、飲食店どころか、消費財でもそうした商品は結構多かった。さすがに90年代後半からは減ったけれど、相変わらず「不毛の空白」を狙って、撃沈した商品は数知れない。
市場ごとに分析すればすぐにわかるのだが、成熟した市場では、競争軸は1つに収斂していくことが殆どである。そこにもう1つの軸を加えて空白を探し、ましてや広告で活性化しようというのは、現在においては最悪手になるかもしれない。特に提案を受ける事業主の方は、そう認識された方がいいのではないか。