「規模の大きい代理店だからといって、"最先端"とは限らない......大手の方が常に新しいことができるのかな、と思っていました」
「まあ、大小は関係ないんだけど。要は研究開発に対する姿勢だ。大手自動車メーカーでも環境技術に乗り遅れているところはあるし、googleのようにベンチャーからスタートして世界を一変させた企業もある」
「変革できるか、っていうのは企業の意志、ということですか?」
「そう思う。今だと"イノベーション"っていうみたいだけど、とりあえず。広告業界の人は殆ど理解してないまま、念仏のようにとなえているけどね」
「僕も、全然わかっていないと思います」
「まあ、いいよ。要は血を流す覚悟と捨てる勇気がどれだけあるかということだ」
「大変、なんでしょうか?広告は。大手代理店もなくなる、というのは想像しにくいんですけど」
「広告代理店は、つぶれにくいと思うよ。リスクを負う投資をしていないから。仮に売上げが減っても社員をリストラして給料減らせば生き延びること自体は可能だから」
「どうなるでんしょうか?」
「わからないけど、このままだと利益率は低下するだろうね」
「どうしてでしょうか?」
「そもそもコミッションビジネスというのは、小売業と同じだ。自ら作るのではなく、仕入れたものを売る」
「広告だと、メディアのビジネスですね」
「そうだ。クリエイティブなどはまた異なるが、広告代理店の収益の柱はまだまだメディアを売ることによっての手数料で成り立っている」
「それの、率が下がるんですね」
「そう思う」
「どうしてですか?」
「そもそも、小売や商社などでは競争が激化するとこの料率を下げることで扱いを獲得しようとする」
「ハイ...スーパーの値引き競争とかですか」
「そうそう。スーパーも電器店もそう」
「広告はなぜいままでそうならなかったんですか?」
「参入障壁があったからだよ」
「障壁?」
「新たに広告ビジネスに参入して、テレビ局や新聞に行って"枠を売ってください"と言っても、売ってはくれない」
「それは、付き合いがなければ、どの業界でもそういうもんじゃないんですか?」
「たしかに、そういう面もある。でも、スーパーや電器店などは消費者が支持をする。そうしたら、メーカーも取引せざるを得ない」
「安売りされても、その方がいいわけですね」
「そう、でもかつてダイエーと松下が対立したこともあった」
「そうなんですか」
「松下はダイエーに卸さなかったんだ」
「じゃあ、新聞社やテレビ局も新規参入業者が乱売するのを嫌がっているんですね」
「そうだろうな」
「でも、ネットなんかにシフトしたら安くせざるを得ないんじゃないですか?」
(続く)