いろいろ今年の気になることは、まだあるのだけど、ここに来て「ワークシェア(リング)」の話が急浮上して来たので書いておきたい。
それは「ワークシェア」と「マーケティング」「広告」の関係である。あまり関係ないように思えるかもしれないが、実は大有りかもしれないのだ。
仮説から言うと、「ワークシェア、もしくはそれに近い働き方が定着すると、マス・マーケティングとりわけAttentionを起点にする広告はますます効果が低下する」ということである。
まず、ワークシェアが導入された場合の消費行動への影響を考えてみよう。
まず思いつくのは「賃金の低下が消費を収縮させる」ということである。これは、実際に起こり得るだろう。
しかし、中期的にみると、どうなるのだろうか?意外といい方向に向かうかもしれない。
日本は内閣府の調査でも明らかなように90年代半ばから景気動向に関わらず「日常生活での悩み・不安」が増大していて最高を更新している。
この心理が改善しない限り内需の拡大はあり得ないし、莫大な個人資産もダムの中である。
だが、ワークシェアによって正規・非正規を問わず雇用が安定することで、将来への不安が低下する可能性がある。
不安が低下していけば、所得が下がっても計画的な消費がおこなわれるかもしれない。プラスの影響も考えられるのである。
ただし、その場合マーケティング戦略はどうなるだろうか。
所得や雇用が安定しても、「上澄み」は少ない。そうなると衝動的な消費は相対的に減少する可能性が高い。だとすればAttentionを起点としたモデルはAIDMAもAISASも陳腐化する。
むしろ「ジックリ・慎重」という意識はますます高まる。「消費の計画化」は広範な情報を提供するインターネットのポジションには追い風だし、「欲望喚起」型消費を期待するマス広告ビジネスには逆風となるだろう。
もちろんワークシェアがどうなるかもわからない。この場合、必ず「政労使合意」が必要になると思われるが、一番のネックは「実質賃下げ」を容認する決断を「労」ができるか、であろう。これは、また別の視点の議論である。
ここで書いている消費への影響は1つの仮説に過ぎない。しかしこういうシミュレーションは、とても面白い。
マーケティングとキャリアは、このように表裏一体の関係にある。僕は、たまたま両分野で本を書いたり、大学の講義をしているけど、それぞれの分野で自分で研究していることの半分以上はお互いに活用できる。
「マーケティングとキャリア」って、個人コンサルとしては色々広がりがあると思うんだけど、あまり参入してくる人がいないのはどうしてなんだろう。