一般的に言って、価格が重視される市場では広告の作品性の議論にはならない。ディスカウントショップが典型だけど、消費者の方が「安い方を選ぶ」という基準を持っているので、「こっちが安い」ということだけ教えてもらえばいいのである。
「こっちが安い」ことだけを伝達するのに、別段の作品性はたしかにいらない。
ユニクロなんかの場合どうなんだろうか。
「いまこれがこれだけの値段!」というのは同社のHPやチラシ広告で十分伝わる。ユニクロの価値の根源は価格である。
それでうまくいっている時に、いわゆる「ブランド広告」とか必要なのか?というのは一般的な疑問である。
これに対して、旧来の広告ビジネスは、いろんなデータを見せていた。ブランド価値調査とかを新聞社などと組んでやって、「これだけ広告したから調査で上がってます」というやつだ。
だが、これは広告出稿を促すロジックであって、ちゃんとした因果関係が証明されているわけではない。
そういう大げさなことをしないで、消費者個々人の心理をもう少し見てみれば、別のことがわかる。
最近の売上げを見ても、ユニクロのユーザーの満足度は高いと推察できる。「ユニクロを買うこと」は「実現したい」のではなく、「実現している」消費行動だと思う。
そのようなユーザーは、「何を教えてほしい」と思うのだろうか?
それはユニクロを買う「より合理的な理由」である。
たしかにユニクロは「安さと品質」のバランスで伸びてきた。だが、もう少し高いブランドを「本当は買いたいんだけど」我慢している消費者もいるはずである。
そうした消費者にが教えてもらいたいことは、こんなことじゃないかな。
「ユニクロを買うのは、"賢い"選択なんだよ」
実は価格を売りにしたブランドは、消費者が「本当は高いもの買いたいんだけど」という気持ちを抑制させることが重要なテーマなのだ
たとえお金があっても、これを買う方が「賢い」と思ってもらえれば、ブランドロイヤリティは上がる。
だが、「賢いよ」と直接的に教えるのは難しい。それを価格訴求のように直接話法で伝えられるだろうか?
そこで間接話法=作品性の高い広告の出番である。
ユニクロックは、ユニクロユーザーに「自分たちは賢いかも」と思わせたとするならば、一定の成果をあげたと言えると思う。
別に売上げに結びついたとかが証明されるかどうかはあまり大きな問題ではない。消費者が「何を教えてもらいたがっているのか」を考えて、それにあったクリエイティブを作ることが重要だと思う。
もっとも、こんなことは昔から直感的に分かっている人はいて、無印良品の「わけあって安い」というコピーも、「賢さ」をメッセージしてたわけですな。
ご無沙汰しております。
私見ですし、広告の作品性から離れてしまいますが、今期のユニクロの商品からすると、「自分たちは賢いかも」と思わせた要因はテクノロジーにあるような気がします。ヒートテックなどはその最たる例かと。
とすると、消費者が教えてもらいたがっていたことは、「価格以外で買う理由」だったのではないかと思います。つまり「安いからユニクロ」という理由は貧乏臭い気がするからあまり人に言えないけど、「高機能だからユニクロ」という理由なら人に言っても悪い気がしないってことなのかなと思います。
そうそう。ヒートテックは思わず買ったけど、冷静に比較すると昨年に無印で買ったものの方が意外と心地良かったり。いずれにせよ、上手でしたね。