「CMの6割、視聴者の心に届かず」
こんな見出しの読売オンラインの記事を読んだ。もちろん、CMというのは万能ではないのだけど、よく背景がわからないので「CM総合研究所」のHPを見たけどリリースがない。
J-CASTニュースのこの記事を読んでわかったのだけど、どうやら独自取材の記事だったようだ。
この調査会社は昔から定点調査をしていて「好感度ランキング」とやらを出している。ただ、この調査は調査対象者にCMを「5つまで記入させる」という方式である。いわば純粋想起なので、出稿量の多い企業に有利だ。それを好感度というのはどうなのか、ということでかつて議論になった。
僕が会社の研究開発でCMの調査システムに携わっていた頃に、このデータが出てきて話題になったのだ。かれこれ10年以上前のことである。
で、議論した結果、そもそも純粋想起を「好感度」で公表すること自体変な話だろうということになった。幾つかのクライアントから問い合わせがあったけど、そのような経緯を説明して「無視して結構です」と言うと、納得してもらえた。当時の同業他社の方も同じ意見だった。
ああ、まだこんな調査やってるんだと思ったけど、あれだけのCMが流れているのだから、普通に想起させれば6割は出てこないだろう。というか4割出て来たのが凄い気もする。
「印象に残らないCMの中には」「1つの商品に3億かけたものある」というけれど、「3億では厳しいだろう」という感覚も一方ではある。「年間905回」というのも、全局でこの程度なら、あっという間に終わるのではないか。
というか、10年以上前からもともと突っ込みどころ満載の調査なんだけど、これが「テレビ局減収」や「マスからネットへ」の文脈で語られるのも、迷惑な話である。
もし、こんな調査がネット広告で行われたらどうだろうか。
「ネットの広告で印象に残ったものを5つまで書いてください」とかいう調査で、その上位を「好感度」とか言って勝手に発表されたら、かなり困るはずだ。つまり、テレビCM担当者だけでなく、マーケティングをしている人にとって、厄介なデータになるはずだ。
しかし。
「CMが効かない」話は、僕が入社した頃から聞いてるんだけど、それじゃ、どうしてあれだけのCMが流れているのかを誰も説明してくれない。
もちろん、一定の効果があるわけなのだから、広告主だってお金を払っているのである。
僕はメディアの使い分けは「クスリ」だと思っている。症状によっては、効くクスリは違う。最初に症状をよく見ないで投薬しているケースがまだ結構あって、その結果「CMが効かない」ということになっているのだと思う。
その処方を間違えれば、ネット広告が効かないこともある。
というあたりのことを誰か方法論をまとめてくれないかと思ったんだけど、誰もしてくれないので自分でしようかと思っている。ただ、やり始めると、これはこれで結構難しいんだけどね。
「ネットの広告で印象に残ったものを5つまで書いてください」
見てみたいですね(笑)あっ、でも実際にあったら笑えないかもしれないですね(汗)
「このクスリは万能です!」って営業してる方もたくさんいるんでしょうね。
クスリが悪いわけではなく(もちろんクスリが悪いこともありますが・・・),クスリが症状に合ってないだけだということを指摘できる方がどれくらいいるんでしょうかね。また,それを納得できるクライアントもどれくらいいるんでしょうかね。