naoto_yamamoto:Blog / 広告って、なに?
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広告をめぐる今とこれからについて考えます。

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広告主のニーズアーカイブアーカイブトップ

で、昨日の続き。広告会社が経営改革をしたい時に人件費に目をつけるというのは、課題の50%の話に過ぎない。
ということの意味について解説しておこう。
一般的に業績の悪化において目をつける場所は「原価」と「経費」である。人件費は広告会社において経費の最大項目なので、これは仕方がない面もある。
一方、原価はどうか。メーカーであれば原価低減というのは、これまた過酷ではあるものの、努力を繰り返して生き残ってきた。
広告会社の場合、制作費については結構前から厳しい。したがって、協力機関つまり発注先プロダクションに対してのコントロールは一貫して強化されているし、当然利益率も改善された。
ところが最大の売り上げ項目のメディアの原価について、媒体者側と厳しい折衝になっているか?と考えると、決してそうとは言えない。競争が激しくなったら、元売りからより安い原価で仕入れたものを顧客に提供するのが中間業者の競争原理なのだが、それが機能しているとは言えないと思う。
これは広告主の立場から見ると明快になる。

広告会社の利益低下を広告主は望むのか。の続きを読む

「景気後退期こそ広告費を増やすべき」という議論がある。
というか、そういう記事があって数ヶ月前のことなので読んだ人も多いかもしれない。こちらのページでその論拠が示されている。
本文にある次の言葉が要約だ。(以下引用)
小泉氏は、過去の景気後退期の広告宣伝費とその後の売上高の相関関係を実証的に分析。「不況期に広告費を増やした企業は、いち早く業績低迷から脱出する。一方、広告費を減らした企業は業績回復に長い時間を要する」という驚くべき結果を明らかにしている。(引用以上)
さて、この議論をどう考えるべきか。事業主に聞かれることもあるが、結構スッキリしない話でもある。
「不況期の売上高と広告費に相関関係」とあるが、たしかに"相関関係"であり"因果関係"ではない。不況期でも広告費を増加させた企業はその後も売り上げを伸ばすという「現象」があるわけだ。
では、「この不況でも広告費を増やしましょう、減少などもってのほかです」とコンサルティングできるか、というのは想像つかない。
このデータはこうも読める。「過去において不況期でも広告費を減少させないだけの余裕のある企業はその後も売り上げを伸ばす」ということだ。
つまり、強い企業は逆風下では相対的にますます強くなるということである。
現在の状況が過去と異なっている面もある。インターネットなどの新媒体が増加して、新聞やテレビなどの単価は下落傾向にある。したがって、プランニング次第では、広告費を減少させても出稿量を維持することもできる。
「広告費の増減」で議論するのではなく、「出稿量の増減」で考えたほうがいいだろう。
また、この議論には続きもある。

「不況だ、さあ広告しなさい」という人々。の続きを読む

買う気.JPG
新刊を出す。3月に出したばかりなので、見た目にはかなりハイペースなのだけど、5月書いたので裏事情でもハイペースだった。
ネットでは予約を受けていて、書店では9日から並ぶ予定だ。
今回は、マーケティングの本を書いた。しかも、広告やコミュニケーションについても深く書いている。
そして広告関係者の人が、いま一つ書ききれていないこと書いてみた。
基本的には広告を出稿する事業主の視点なので、広告会社の利益にならないようなことをするべきだ、という内容もある。
またマスメディアの報道などが広告媒体として適切か?ということも書いた。これも、広告関係者の人は書かない。(多分、「書けない」だと思う)
AIDMAやAISASは広告の本に書いてはあるけど、マーケティングの本には後ろの方に書いてあるだけで、しかも研究者は否定的だ、ということも書いた。
でも、ネットだけでどうにかなるわけではないよ、ということも書いたので、原稿枚数を抑えるのが大変だった。
じゃあ、ネットとマスのベストバランスは?ということについては新モデルを提示した。
キーワードは「関与度」だ。ただし、「高関与なものはネットで調べてから」というような単純なモデルではない。
あと、人材のことも書いた。どういう状況では、どういうクリエイターを選択するべきか?ということを発注者の視点でパターン分けをした。
エイギョーが「このCDの実績は」とかいって持ってくるものを、鵜呑みにしてはいけない。ということもよくわかるはずだ。
あと、どうして広告会社と一部媒体社の人は毎日お酒を飲まないと仕事にならないのか?そもそもそのお金はどこから出ているんだろう?という素朴な疑問も書いた。

まもなく、新刊。の続きを読む

上場している広告代理店が相次いで、というかお揃いで業績見通しを下方修正した。
こういう環境なので「仕方ない」ことにも見えるけど、色んなことの"ツケ"が回ってきたのかな~という気もする。
事業主と付き合っていると、「あの大騒ぎは何だったのか?」という話もよく聞く。"大騒ぎ"というのは「コンタクトポイント」「タッチポイント」「統合マーケティング」など、要するに「マス広告だけじゃないフル装備」のご提案騒動のことだ。
いざ頼んでみると「できる人がいない」「出てきてもいなくなる」とかいうことも多いようで、それじゃぁサスガにまずいだろと言う気もする。
原因は単純に見える。マス広告離れに危機感を感じた代理店が「マーケティングの総コストの維持」を第一に考えたからだろう。
たしかにマスメディア離れは観察される。だが、どんな市場でもフル装備でいけばいいというわけではない。
たとえば一般消費財。飲料、食品、トイレタリーなどスーパーやコンビニで売っているようなカテゴリーのものは、当然TVCMが一定の効果を果たす。ただ、店頭の価格政策に原資を投じた方が売上げに効く、と思われれば相対的に「割高」であることが問題なのだ。
ちゃんとしたクリエイティブと出稿計画を組めば、一定以上の効果は今でも十分に認められる。そうじゃなきゃ、広告しない。
一方、ネットの発達でストレートの広告が効かない。だからこれからはAISASだという議論の胡散臭さもここにある。

カタカナを売ったツケ。の続きを読む

初日の出.JPG
普通に2009年が来た。
別に毎朝同じような日の出を見ているわけだが、折角なので元旦の太陽を写真におさめた。
昨年の半ばに、ホームページを一新して"広告"をタイトルにしたブログを始めてみた。自分自身マーケティングの仕事に関わっているため、それをテーマにすると結局何も書けなくなってしまう。コンサルティングの仕事はそういうものであって、いろんな会社の「マーケティング施策」についてあれこれweb上で論じている「マーケティング・コンサルタント」は、本当にクライアントがいるのかしらん?とか思ってしまう。
だが、広告については直接の利害がないので、まあ書きやすいので始めてみたという次第だった。
広告業界から、一歩離れて、というか現実的には数歩離れたのかもしれないが、4年以上経つと何となくわかることもある。一番印象的なのは「思ったより嫌われてもいないが、それほど頼られてもいないんだな」ということだろう。
事業主から見ると「いいお友達」なのである。

今年は2009年です。の続きを読む

ポジショニング.jpg
ポジショニングというと、十字を切った4象限上にブランド名やらをプロットして、ああでもない、こうでもないとやることだと思われている方は結構多い。
別に間違っているわけではなく、競争的ポジショニングという観点では、「それもあり」なのだけど話はそう簡単ではなくなっている。
そうあんると、今どき企画書にこういう十文字のマップを出して来て「ポジショニングでございます」というプレゼンテーションがあった場合は、そのプランナーとか代理店のスキルを一度疑った方がいいかもしれない。
なぜか?マップを作って空白を探すようなプランニングは、市場の成長期には結構効くのだけれど、成熟期になるとかえって危険だと思うからだ。
では、その危険な理由とは何か?ともう一段考えてみよう。

ポジショニング馬鹿一代。の続きを読む

消費行動.jpgマーケティングと広告との関係とか線引きについては、別に決まりがあるわけでもない。ただ、世の中には広告、特にマス広告をおこなわないマーケティング活動も山ほどあるので、広告を前提にして「マーケティングの変化」を論じると、本質を見失うのではないか。
広告=ラブレター論に「陥穽」を感じたのはそういう理由である。
ところが日本では広告業界がマーケティングについて発信している割合が多いために、広告を前提にした議論になるようだ。
近年の「AIDMAからAISASへ」というのも、その最たるものだろう。ネットの時代になってマス広告のような効果は変質する。それはそうだろうけど、AISASだって結局attentionを起点にしている。それは広告という「部分」からの発想である。
では、どんなモデルなのか?

Aから始まらない消費活動。の続きを読む

4つに分けて業界を分析したのは、単に分析が目的なのではない。広告ビジネスから離れた立場から、広告主のニーズを伝えたかったからである。
広告主は広告会社をどう見ているのか?業界内で会社員だった時には、結局分からなかった。それはそうだ。面と向かって評価をするようなお人よしは、そうはいない。
一番気になるのは「不満を持たれているのでは?」という疑問だろう。広告主の潜在的不満が積もりに積もって、ある日突然アカウントを失う。これは代理店の営業にとって、最も恐ろしいことである。
僕なりの結論を言えば、多くの広告主は広告代理店に対して大きな不満を持っているとは感じられない。時間のない中で「よくやっている」と思っているのではないか。
ただし、重要なのは「不安」を持っているということなのである。

広告主の「不満」と「不安」。の続きを読む