naoto_yamamoto:Blog / 広告って、なに?
home
profile:自己紹介およびこれまでの経歴について
concept:著書・論文・およびその他の活動実績
works:しごとの基本的発想について
service:提供できる具体的なしごと内容
form_NY:マーケティング、キャリアのことから雑記まで
ヤマモト・リポート:マーケティング、コミュニケーション、キャリア等についての不定期刊リポート
昔のブログ
contact:お問い合わせ

このブログについて
広告をめぐる今とこれからについて考えます。

このブログを購読


アーカイブ



キャリアのこともアーカイブアーカイブトップ

「ちょっと、表現が唐突だったかな?さっきは」
「デパートの中に100円ショップ...つまり、あんまり儲かりにくいモノを売る、ということですか」
「そうだ。かつ、あまり"差別化"できないものを売るということだ。デパートは世界中から一級の品を集めてきた。それを買い付ける人"バイヤー"のスキルとセンスがデパートの価値を支えてきたといっていい」
「はい、わかります」
「広告ビジネスも同じだ。それぞれのブランドにふさわしいメディアの展開プランと、クリエイティブを実行できるスキルとセンスがあるからこそ、事業主はお金を払う」
「でも、それ以外のことをして売上げを維持しているんですね。マス広告自体が何年か前から減っているのは知っています。でも、広告代理店は伸びている年もありますし、デパートみたいには、なっていません」
「それは、マスメディア以外の"プロモーション"といわれる分野で補っているからだ。ただ、これは手間がかかる上に利益率も低い。店頭の商品周りの細かいツールをつくったりするからね。それに参入障壁が低いので値下げ競争になる」
「あんまり儲かりにくいんだろうな、というイメージはあります」
「イベントなんかでもコンサートやスポーツだけじゃない。週末も朝から晩まで秋葉原の店頭でお手伝いするのも"イベント"だし。チラシや小さな媒体も取り組んでいる」
「あの......そうなると給料は下がるんですか?」

広告志望学生との対話。⑤の続きを読む

「たしかに、新聞やテレビなどのマスメディアの価格も下落せざるを得ない。ただ、全部ネットのせいにするのは間違っていると思う」
「そう...なんですか?」
「最近、雑誌が廃刊になったり、新聞やテレビの広告が減少しているのは知っているよね?」
「はい...必ずのように"インターネットなどに押されて"とか書いてありますけど」
「たしかにそういう面もある。広告主は効果が分かりやすい施策を選ぶからね。でも、もっともっと根深い問題があると思うんだ」
「なんでしょうか?」
「それは、日本の人口構造が変わって、いわゆる"成熟化"が進行していることだ」
「"成熟化"ってわるいイメージはあまりないんですが」
「簡単にいえば、もうモノは溢れている上に、高齢者が増えている。広告を見て"ああ、これ買いたい"という気持ちになりにくい」
「なんか、暗い感じですか...?」
「まあね。でも、生活していく上では必ず消費行動が起こる。ただ、広告の刺激だけで購買しない傾向は全年代で着実に広まっている。ネットで調べたりすることは、それに拍車をかけるけど、まず前提にあるのは"成熟化"だ」
「僕なんか、やっぱり広告が気になりますけど」
「それは君が若いからだし、広告に関心があるからかもしれない。それに、広告がまったく効かないわけじゃない。スーパーやコンビニで売っている商品などでは"一定の効果"はある」
「それでも、昔ほどではないんですね...たしかに広告してないけど、安い商品を買うこともあります。コンビニのカップ麺とか」
「そうだよね。だとすると、広告代理店も仕事の局面を変えていかないと」
「どういう風にですか?」

広告志望学生との対話。④の続きを読む

「規模の大きい代理店だからといって、"最先端"とは限らない......大手の方が常に新しいことができるのかな、と思っていました」
「まあ、大小は関係ないんだけど。要は研究開発に対する姿勢だ。大手自動車メーカーでも環境技術に乗り遅れているところはあるし、googleのようにベンチャーからスタートして世界を一変させた企業もある」
「変革できるか、っていうのは企業の意志、ということですか?」
「そう思う。今だと"イノベーション"っていうみたいだけど、とりあえず。広告業界の人は殆ど理解してないまま、念仏のようにとなえているけどね」
「僕も、全然わかっていないと思います」
「まあ、いいよ。要は血を流す覚悟と捨てる勇気がどれだけあるかということだ」
「大変、なんでしょうか?広告は。大手代理店もなくなる、というのは想像しにくいんですけど」
「広告代理店は、つぶれにくいと思うよ。リスクを負う投資をしていないから。仮に売上げが減っても社員をリストラして給料減らせば生き延びること自体は可能だから」
「どうなるでんしょうか?」
「わからないけど、このままだと利益率は低下するだろうね」
「どうしてでしょうか?」

広告志望学生との対話。③の続きを読む

「何で、電通や博報堂がいいの?」
「大きい会社の方が最先端のことに取り組んでいると思うんです。メーカーでも上位の企業のほうが新しいことに取り組めると思うんです」
「なるほど」
「自動車でも環境問題に対応しているような企業は。みんな上位ですし、一般論としてもそう言えるのではないでしょうか。広告でも、電通や博報堂、ADKなどの上位企業が新しいことにチャレンジしていると考えました」
「新しいことって、どんなこと?」
「インターネットはもちろんですけど、それ以外にもいろんな新しいことはあるのではないでしょうか...まだ研究中ですし、その辺をこれからOB訪問などで聞きたいと思うんです」
「わかった。大きい会社を志向することは別に悪いことじゃないけど、"大きい"からというだけではなく、"新しい"からというのは一定の説得力があるね」
「ありがとうございます」
「ただ、本当にそうかはわからない」
「何でですか?」

広告志望学生との対話。②の続きを読む

その学生は「広告が第一志望です」とハッキリ言った。
その上で、こうも言った。
「広告業界が大変な時期にさしかかっていることは、知っているの?」
「はい、まだ詳しく研究したわけではないのですが、大手の代理店でも今年は厳しいと聞きます」
「そっか......細かい数字はともかく、たしかに大変だ。理由はわかっているの?」
「はい。やはりインターネットの浸透で新聞やテレビの広告が減ったからだと理解しています」
「それでも、いいの?」
「他の業界にくらべて、"やりたい"と思うことがあるのは広告なんで。もっとも今どこに入っても、10年~20年後に同様とは思えません。そのくらいの心構えは持っているつもりです」
「5年かもよ?いや、もっと短かったりして」
「......」
「わかった。じゃあ、話をする前に一つ確かめておきたい」
「なんでしょうか?」

広告志望学生との対話。①の続きを読む

学生から相談を受ける季節になってきた。
3年生は早くも就職活動である。こんな時期に動かざるを得ないような仕組みについては、書きたいこともあるのだけど、それは近著の方でいろいろ書いた。まずは今の学生を助けることが第一である。
大学の後輩や、青山学院の2年前の教え子、さらにはその友人など色々と会う。僕は、マーケティング・広告関連のコンサルティングだけではなく、キャリア論がもう1つの専門なのである。
とは言え、最も多いのは「広告業界に行きたい」という話だ。もっと分かりやすくなると「電通か博報堂に行きたい」と言うことになってくる。
これが結構困る。僕は20年以上前に博報堂に採用されたけど、20年も働かずに辞めている。立場としては微妙だ。
「なんで、広告に行きたいの?」とか本気で聞いてしまう。自分がどうして広告業界に憧れていたのかとか、既に忘れているようである。
というか、本当に忘れている。
そうなると、聞かれて大変に当惑する質問がある。
「山本さんは、なぜ博報堂に行きたいと思ったのですか?」
これが困るんだな、ホントに。

僕が就活中だったなら。の続きを読む

広告代理店をはじめとする「ギョーカイの情報優位性」が崩れたという話を書いたが、では、今後再び優位性を取り戻すことができるのか。またその必要はあるのか?という話を考えてみよう。
その前に、そもそも「情報優位」ということは、広告ビジネスにおけるキャリアにおいて必要なことか?ということを考えておきたい。
僕は、職種によっては、この「情報優位」は今後も大切だと思っている。
キャリアを考えた時に、最も分かりやすい差別性は「技術優位」である。つまり抜群のスキルがあること。広告業界だとクリエイターは、この技術優位性がカギとなる。
では、営業やプロデューサーなどはどうか。実は「売る」というスキルだけで技術優位に立つことは結構難しいと思う。広告の仕事で収益をあげるというのは一般のセールス技術とは異なるのだ。

情報優位か技術優位か。の続きを読む

広告代理店の営業キャリアのことについて、コミッション・ビジネスとの関係で書いたのだが、問題点を指摘したままというのも、何となく気になるので、しばらくは広告業界におけるキャリアデザインのことを考えてみようかと思う。
僕が10年位前に、会社の先輩に聞いた言葉で大変印象的なことがある。
「90年代に入って、広告代理店を始めとする"ギョーカイ"の情報優位性が急速に低下した。これが、一番の問題点だと思う。」
情報優位性とは何か。彼のコメントをまとめると、つぎのようになる。

情報優位のありがたみ。の続きを読む

コミッション・ビジネスにどっぷり浸かった営業のキャリアが30代後半で曲がり角を迎えるのは、広告業界に限った話ではない。大抵の場合は、会社が何らかの肩書きを用意してくれるので、とりあえずそこに座ることとなる。
だが、その肩書きで定年まで安住できたのは過去の話である。それは「仕入れが限られているのに買い手が多い」時代なら、どうにかなる。全体の市場規模が放っておいても成長するので、分け前に与かれる。
だが、今はメディアが増える一方で、国内消費市場は縮小している。こういう時代には、コミッションの絶対額が増えないはずだ。率が下がらなくてもそうなのだから、低下したらますます問題が大きい。
そういう時に、一番困ってしまうのが「関係維持能力」しかスキルのない営業職ということになる。

30代半ば以降の広告営業。の続きを読む

広告代理店の報酬体系の議論で必ず出てくるのが「コミッション」と「フィー」の話である。前者は主にメディア仲介の手数料で、媒体費の一定の割合となる。後者はマーケティング全般に関するサービスに関する報酬で、契約によって決められた額を請求する。
この言葉を聞いたのは入社二年目なのでもう20年以上も前である。
社内勉強会で集められて「これからはコミッションからフィーに移行しないと経営が成り立たない」と言う主旨だった。
あまり移行したとも聞かないが、それなりに経営が続いているのも不思議ではある。
この議論は、何を今さらという感じかも知れないが、実は重要な側面が1つ見落とされている。
コミッションビジネスばかりを続けていると、人材が伸びなくなるのである。

コミッションのもう1つの問題。の続きを読む