久しぶりに新国立劇場に行った。
「ヴォツェック」である。木曜の14時。直前に思い立ったのだがS・A以外は完売という繁盛ぶりである。
はじめて聞くけれど、陰惨な狂気の物語であり、それで平日午後からこの人出である。好事家が多いのか、まあ人のことは言えないのだけれど97年にこの劇場がオープンしたときには想像もつかない光景だ。
歌舞伎座だって平日昼興行が成り立っていて今月なぞ昼席は完売ではあるけれど、オペラしかもベルクでこんなに人が来るんだ。
演奏が始まってまず分かったのは、午前中ジムでランニングをして、家でメシ食って約一時間後のベルクは、恐ろしく眠くなるということだった。
ただし睡魔が去った後は恐ろしく冴えて、聞き入ったけれど。
初めて見るのだが、演出が「斬新」であることはわかる。だって水浸しなんだから、舞台が。ただし、あまりに説明的で「狂気」には遠い気もした。
歌手は誰が飛びぬけて、という印象ではなかったが、オケのできがよかったと思っている。東フィルは06年に聞いたハーディングの「復活」での金管の醜態に愛想を尽かしてしばらく聞いてなかったけれど、今日は精緻なアンサンブルで金管も決まっていた。
あと、子ども店長、じゃないや子役がなかなか。カーテンコールでもオケと子どもで拍手が強かった。
終演と同時に「ブー」が約一名だけど、終演直後のブーイングってどうなのか。歌手やオケなどの個別に対してはなかったようなので演出に対してかもしれない。
それなら演出家が登場したとき(しない日もあるが)にすればいいんじゃないかと。オケもグチャグチャ、歌手はヘロヘロという演奏ではなかったし、あくまでも当日評価されるのは演奏家なのだから、ああいうブーイングは心地よいものではない。
ついでに書くと日本人のブーイングは(ブラボーもそうだけど)音楽的じゃない。昨日もそうだが「ブー」とカタカナ言ってはbooingじゃないでしょ。
海外の録音でもブーイングを聞くけど「booooo」と唸るような声があちこちから湧いて来る感じ。
とは言え新国立劇場も、いい劇場になってきたんだな、という感じを強くした。採算ベースに乗りにくい公演のための施設を作ってよかったと思う。もう、国立でこういう施設作ろうすると今後はみ~んな"仕分け"されちゃうんだろうな。