2012年02月アーカイブ

昨年、父の余命が半年とわかってから、いろいろと大変なことはあったが、一番予想外だったのは、人に話す機会が想像以上に少なかったことである。
そして、それは自分の働き方とも関係していたのだった。
大体、夜に人と食事するのは週2回程度にしている。健康管理上の問題もあるが、そのくらいが、自分にとっては「ちょうどいい」のだ。会う相手はさまざまだが、大体二週間くらい前にはアポを取ると思う。
つまり、あらかじめ「何時会いましょう」と決めるわけだ。
ところが、このアポイントを決める気が失せてしまった。会いたい人はいるのだが、会えばそういう話をしたくなるだろう。ところが、わざわざ約束をとって重い話をするのは気が引ける。
結局、同年代以上の友人で、既に同様の経験をした人と話すことが多かった。
そして、会社員時代のことを思い出すと、みな昼飯の時なんかに何気なくそんな話をしていた気がする。
「いや、実はオヤジがですね…」
と、病気に関する打ち明け話を誰かがする。そうすると、先輩が声をかける。
「そっか…うちの時はな」と話を聞かせてくれて、「まあいざという時は、まかせておけ」とか「おふくろさんの近くにいてやれよ」という会話になっていく。
そんな風景を若い頃に見ていて、「いつかこういう日が来るのかな」と思っていた。そして、実際にその日が来た時に、僕は会社にいなかった。

>> フリーの花道⑤会社という場の意味の続きを読む