2017年02月アーカイブ
というのも、そもそも定義がわかったようでわからない。そう言われている類いの小説を何冊か読めば肌で感じることはできる。しかし、これがまた興味のない人にとっては、えらく縁遠いらしい。
簡単に言うと、どこまでいっても「わざとらしさ」がつきまとう。それが小説の魅力だと思う人もいれば、リアリティがないという人もいる。
まあ、そんなものは小説の根源に関わる論争で深入りする気はない。ただ、日本人が日本を舞台にしてハードボイルドを書こうとすれば、どうしてもこの「リアリティ」のことを考えなきゃいけないだろう。
ハードボイルドは、アメリカ生まれだ。ヘミングウェイの作風もそれに近いかもしれないし、映画の「カサブランカ」もそうかもしれない。しかし、小説しかもミステリー仕立てなら、チャンドラーの作風が典型だろう。
渋い男が、カッコいい台詞を吐き、酒やたばこの小道具にもこだわる。そして事件はいつもほろ苦い。
そして、日本に「移植」すると、どこかギクシャクする。そのギクシャクを承知で成功した1人が原尞だろうか。
でも、時代は変わった。いつしかハードボイルド的な世界が日本だけでなく米国でも希薄になったような気もする。
そんな中で、若竹七海の「葉村晶」のシリーズは、このリアリティ感が絶妙だと思う。 >> いまの日本だから面白い、若竹七海のハードボイルド。の続きを読む