2017年02月アーカイブ

パーヴォ・ヤルヴィがN響を振って、マーラーの「悲劇的」を演奏するという。しかも、NHKホールではない。でも、横浜で、平日だ。

迷うことなく行くことした。クルマで一人にコンサートに行くのは、あまりない経験だ。

演奏の組み立ては予想通りだった。

1楽章は、カチッとして引き締めた造形で、2楽章に持ってきたスケルツォと並んで、コントロールを優先した印象だ。アンダンテも過剰に耽溺する感じではない。

ヤルヴィは、N響の機能を活かしたうえで、フィナーレしかも最後の10分くらいでエネルギーを解放させるだろうと思っていたが、そういう狙いだったようだ。

長大なフィナーレで、2度のハンマーの後、再現部の前でコラールがある。ここのテンポはそれぞれなのだけれど、ヤルヴィは相当にたっぷりと歌わせていた。ここから最後までの爆発を狙ったのだろう。

しかし、その意図を表現しきれていたかというと、ちょっと難しいかなという印象だ。「悲劇的」はフィナーレのコーダに至る部分が、いい意味で「乱れる」ような仕掛けになっていると思う。

イメージで言うと、戦国武将の合戦でもう刀折れて矢は尽きて、髷はほどけてざんばら髪。馬はどこかへ行って、兜は飛んで、甲冑もズタズタ。そういう中での肉弾戦のような感じだ。

関ヶ原の戦い、午後3時の西軍という雰囲気だ。その勢いがあれば、少々のアンサンブルの乱れがあっても許されると思う。

ただ、この日はオーケストラが少々息切れしたのか、乱れ切るのを自制したのか。もちろん、全体的にはとても水準が高い演奏だったし、この後の欧州公演では、よりいい演奏をしてほしいと願う。

そして、ホルンはソロもアンサンブルも素晴らしい。コンサートマスターは、よく見るカワウソのような人で、さすがのリーダーシップだったしソロも精緻だった。

ただひとつ気になったのが、演奏後の団員のマナーだ。 >> ヤルヴィの「悲劇的」とN響のマナー。の続きを読む