2018年06月アーカイブ

「フィデリオ」が終わった。

といっても、普通の人には良く分からないかもしれないが、新国立劇場で上演されたベートーヴェンの「フィデリオ」というオペラの演出が大胆というか奇抜というか、日本のオペラ村ではああだこうだと盛り上がったのだった。

計5回の公演は結構客の入りも良かったけれど、仮に満席でも延べ一万人弱くらいなんだから、やっぱり村な感じだ。そして、この村はいろいろと口うるさい人も多い。

そもそも、フィデリオというのは突っ込みどころの多いオペラだ。ベートーヴェンも相当悩んだのか、序曲だけでもたくさんある。で、内容はいたって単純。

とある悪人の不正を暴こうとした男は無実の罪で刑務所暮らし。そこに男装した妻が忍び込んで看守のもとで働き、地下牢の夫と再会。悪の総統に見つかり殺されかかるところで、正義の大臣が到着して「お裁き」となりめでたしめでたし。

思ったより、簡単に書けた。しかし、ベートーヴェンというのは、作劇が苦手なのだろう。最初の序曲から30分くらいの歌は、いわば「現状説明」だ。話が前に進まない。その上、全体として「私はこう思う」という歌がやたらと多い。何かに似ているかというと「第九」のような感じだ。 >> 新国立「フィデリオ」とクラシックの憂鬱。の続きを読む