2020年11月アーカイブ

『悲愴』を聴いた。

11月に入って旧友から連絡があり、11/10のコンサートに行けなくなったという。ウィーンフィルに行こうかどうかは迷っていたので、譲ってもらって急遽サントリーホールへ行った。

『悲愴』は音楽史の中でも、特異な名曲だと思うし、好きなんだけど、ライブにはほとんど行ったことがない。強烈で、魂を鷲づかみにされるようなところがあって、いろいろと疲れる。かといって、疲れないような演奏に行くと、とても時間を無駄にしたような気分になる。

というか、最近は同じ理由でオーディオでも、あまり聴かない。

この曲は、そのタイトルと作曲者の直後の死去とも相まって、死を悼む曲のように感じられることもある。しかし、そんなことはどこにも書いてない。だから、演奏前に楽団からアナウンスがあり、「演奏終了後に黙祷を捧げます」と聞いたときは、ちょっと違和感もあった。

「今夜は、そういうつもりで来たわけじゃない」

しかし、終わってみればそれは杞憂、というか考えすぎだった。音楽を聴いて、何を感じるかは、それぞれに委ねられる。

終演後の長い沈黙。それは、単なる黙祷ではなかった。 >> 『悲愴』は希望の曲だった。ゲルギエフとウィーンフィル、2020年の来日。の続きを読む