今年の初めに、このブログでこんなタイトルのエントリーを書いた。

【今年気になること】仲良し男子と戦う女子。

たとえば嵐とAKBなどを例に出して、メディアの上では「仲がいい男子」と「戦う女子」がもてはやされる、というお話だ。

この傾向、このオリンピックでもその文脈は健在だった。というより強化されてる。

「仲良し男子」については、先日も書いたとおり。で、気になるのは「戦う」どころか、もはや「昭和のスポ根」を地でいく女子の頑張りだ。

レスリングの吉田を中心とした人間模様、ウェイトリフティングの三宅の父子鷹物語、シンクロの鬼コーチと復活劇。男子よりも、汗と涙の密度が妙に濃い。

そして、こうした事実を受け手が望む方向に合わせて、またメディアも演出する。つまり送り手と受け手の共同作業だと思う。

じゃあ、誰が女子アスリートに、スポ根劇を望んだのか?まあ、中高年男性だろう。

閉会式の夜、近所の小さな店で食事をしていたら、こんな会話があった。常連客の一人客同士とマスターが話している。まず若い女性客に向かって

マスター「あのリレー、いい男ばかりが4人も走って最高でしょ?」

女性客「そうですよね~」

と、ここで隣の中年男性が割り込んだ。 >> スポーツ女子に「昭和スポ根」を求めたのは、誰だったの?の続きを読む



リオデジャネイロ・オリンピックの閉会式での、日本のプレゼンテーションにはいろいろと驚いたり感心したりした。ハイライトで首相が登場したことについては、まあ、もともと彼を嫌ったり「許せない」人にとっては否定的だろうから、まあそういう方には「日刊ゲンダイ」でもご覧いただくとして、ちょっと別の角度で見てみたい。

一言でいうと、「首相や大統領があのパフォーマンスができる国」っていうのは、そうそうないことに気づく。

つまり、国内からというより、世界の国から見ると、日本の強みが見えたと思うんだよね。

 

  • 安全で平和な国じゃなきゃ、あれはできない

国内が乱れていたり、ましてや交戦中の国では、首相がああいう振る舞いをするわけにはいかない。今回も、突発的事態があれば日本を離れられない可能性もあったわけで、きっと「プランB」があっただろう。

たとえば、フランスのオランド大統領を見るのは、テロの後の記者会見の悲痛な表情の時が印象的だ。リーダーの姿は、国への印象を左右する。

 

  • トップはいい意味で「軽い」方がいい

米国大統領をはじめ、西洋先進国の首脳はみんなユーモアのセンスと軽妙さを感じるけど、東洋はどちらかというと堅い。また、プーチンなんかは、笑っていいのか怖がればいいのか、ちょっと困るようなところもある。ましてや、軍事力を背景にこわもて外交をやってる国の首脳などは相対的にマイナスに見えるだろうな。

 

  • 「ソフト・パワー」の国だから、できる

考えてみると、世界の国で「首脳がコスプレ」するほどの知名度があるキャラクターは、そうそうない。アメリカの大ネズミくらいじゃないかな。まあ、オバマだったら仮にやってもおかしくないと思うけど。

 

つまり、首相登場の背景を見ると、相対的に見た日本の強みが浮かびあがってくるように思う。

全体の企画演出が「日本らしさ」を狙っていたのはもちろんだけど、こうやって見ていくと首相を「起用」できる国は少ないと思うんだよね。領土や歴史問題で日本に対して好意をもっていない一部の国の人は不満を持つかもしれないが、広い目で見た外交戦略としては、プラスだと思う。

ちなみに、首相登場だけでなく、全体の企画に対するSNSなどの声を見ると、自分の周りにいる企画畑の友人が皆これほど絶賛していたけど、初めてだと思う。プロはプランニングする人への敬意をしっかり持っているんだなと再確認した。



(2016年8月22日)

カテゴリ:メディアとか

いろいろな名場面のあったリオデジャネイロ・オリンピックだけど、日本選手について僕が印象的だったのは、「もうフィクション作家とか大変だよなぁ」ということだった。

それは、特にチームスポーツで感じたんだけど、もう現実の選手同士のエピソードや、醸し出す雰囲気が創作者の想像範囲を超えちゃったという感じだ。

日本では、スポーツにおけるスーパースターは、フィクションことにコミックから生まれて来た。というか、まだまだ世界レベルから遠い日本のスポーツは、コミックの中で成長してきたわけだ。

そして「大リーグボール」の時代から、日本人選手が本物の大リーガーになって、超一流の仲間入りをしていった辺りから、フィクションの出番は段々と減ってきたと思う。

今大会だと、まず荻野と瀬戸の「子どもの頃からのライバルと友情」というお話があった。

体操は、内村を中心としたチームが優勝して、最後はそのリーダーが個人でも金メダルと獲った。

卓球は男女ともメダルを獲ったが、並んだ時の個性がまるで図ったみたいだし、そして、4×100mリレーは、「できすぎ」というくらいのお話だった。

1人も9秒台もファイナリストもいない中での、チームプレーというのもそうだけど、またキャラクターが光ってる。でも、ドラマの脚本家が「ケンブリッジ飛鳥」なんてキャラクターを考えたら、脚本家が突っ込まれたと思うんだよね。

「いや、ちょっと荒唐無稽でしょ」とか。
でも、現実はもう軽々と先に行ってしまった。 >> 「本物のチーム」が勝った夏。の続きを読む



81jPXr5z5cL今夏に読んで結構楽しめのがこの一冊。

ロシア革命の時の、英国情報部を巡る歴史ノンフィクションなのだけれど、当時の緊迫感がジワジワ伝わってくるだけでなく、現在にいたる「ややこしさ」のルーツもまた見えてくる。

英国の秘密情報部は、MI6あるいはSISなどの略称でも知られる。フィクションでも有名人を輩出していて、もっとも知られるのは007のジェームス・ボンド。その次が、ジャック・バンコランだろう。(多分)

英国は「七つの海を支配した」歴史を持ち、米国と相まって英語の影響力も強い。グローバルな大国だが、どこか「世界を背負ってる」感じがする。007は英国を守るというより、世界を助けるという感じだし、サンダーバードも「国際救助隊」だ。

その理由が、また何となくわかってくるのがこの本の面白いところだ。

組織の発足は、第一次世界大戦がきっかけになっている。ただし、この時代は共産主義の風、どころか嵐が吹き荒れて大戦末期にはロシア革命が起きた。

情報部の活動は、勢いレーニンのソ連をマークすることになる。と書きたいところだが、ソ連の成立前にまずは「ボルシェビキ」が英国の敵となったわけだ。そういえば、もう、ボルシェビキとか、言葉自体が懐かしい。コルホーズとかソホーズとか、昔の社会科はロシア語を暗記させていたんだよな。

さて、この本は基本的には英国側の視点で書かれる。そして、英国がなぜレーニンを警戒していたのか?それは、レーニンが「世界革命」を唱えていたことも理由だが、もう一つ重要な理由があった。

インドである。これは、不勉強だったなぁと思った。インドの独立勢力に呼応するようにして、レーニン率いるボルシェビキは、その活動を支援しようとした。そうなると、諜報戦の舞台は中央アジアとなり、アフガニスタンあらタジキスタン辺りが鍵を握ることになる。

前半の舞台は、ペテルブルクからモスクワへの潜入が中心だが、後半はユーラシアのまん真ん中となる。そして通信手段が未発達な時代だからこそ「人」を巡る話がとてもスリリングになる。

そう思うと、007がエキゾチックな舞台で切った張ったをやっているのもよくわかる。インドとレーニンの握手は、当時の英国にとっては悪夢だし、あの辺りは英国情報部にとっては大切な庭なのである。現地にとっては、たまったものではないが。

そして、ソ連は79年にアフガニスタンに侵攻し、モスクワオリンピックは大騒動になって、そこから10年ほどで国が崩壊した。その後のアフガニスタンは安定を欠き、英国は深く関与していることの理由も、この時代に遡るわけだ。

ちなみに、この頃のチャーチルは、どうも今一つ判断能力が良くないように思えるんだけど、彼はいつ頃「化けた」のだろうか。それとも、そもそもそういう人だったのか。そのあたりも、また気になってくる。



(2016年8月16日)

カテゴリ:世の中いろいろ

2週間ブログを休んでいた。特に何もせずに東京を離れたり、お盆の歌舞伎座に行ったりしながらゆるゆると再開している。

その間に都知事選があり、五輪が開幕した。そして、天皇陛下の「お気持ち表明」があり、あのグループの「解散通知」があった。

いろんな意味で、「平成」を思う夏だ。

あのグループは1988年の結成というから、まさに平成の歴史に重なる。そして、25年から30年というのは、ある意味必然的な転換点になりやすい。

それは、世代交代のサイクルだからだ。

かつて「企業寿命30年」という説があった。もちろん数百年続く老舗もあるので、すべてが説明できるわけではない。ただし、急速に隆盛を迎えた会社のその後の波を見ると、一定の共通点があると思う。

30年とは企業にとってどういう年月なのか?

15歳の若い顧客は、中年になる。成長期を支えた30歳前後の社員は、還暦となる。必然的に、それまでの勝ちパターンが通用しなくなるのだ。

平均寿命が短い時代はサイクルももう少し短かったと思うが、現代では30年くらいがその目安なのだろう。 >> 平成とSMAP、そして30年。の続きを読む