大学の入試が続いている。とあるサイトに出ているバナー広告で、僕の出身学部の合格発表が今日であることを知った。いまだに、受験番号は記憶している。

しかし、今だったらどんな学部を受けただろうか?

僕の卒業した学部は法学部政治学科で、法律関連の科目は「法学概論」だけが必修だった。法律の基礎知識については、ミステリー小説で知った。大岡昇平の「事件」というのが結構勉強になったという記憶があるけれど、いま奥付を調べると中学生の時に読んでいた。

政治学といっても結構幅が広くて、僕は「西洋外交史」を専攻したかったのだが、入学したら定年になっていた。なんで入学案内にわざわざ写真が載っていたのかと思うが、事前の下調べといってもその程度だったのだろう。

その後は、アフリカの地域研究に関心を持ったのだけれど1983年の総選挙の開票速報を見ているうちに気が変わった。選挙理論と予測モデルのゼミに行ったのだが、統計の基礎を学んだことはその後の仕事に大きく影響した。

では、いまだったらどんな学部を選ぶだろう。 >> いま文系学部を受けるなら「文学部」がいいと思うワケ。の続きを読む



トランプが大統領に就任してひと月が過ぎた。過去を振り返ると「もうひと月か」ということが多いけれど、どちらかというと「まだひと月か」という感じである。彼の任期は、この48倍だ。いったい何が起きるのか。

だいたいトランプ関連のニュースの比率が異様に高くて、NHKからワイドショーまでトランプばかりだ。「トランプウォッチ」というフォローを始めたメディアもある。

ただ、日本人がトランプをめぐって「語れること」は、もう尽きているようにも思う。当選してからの流れはこんな感じだろう。

①知らないアメリカ」についてのうんちく

「彼があれだけ支持を集めるってことは」という背景をいろいろな方が説明した。「ラストベルト」とか「レッドネック」とかなんか色々あったでしょ

②パーソナリティへの注目

まあ、あれだけの個性だから「脇にいる坊や」から「目の周りだけが白い」とか、私生活に至るまでネタは尽きないわけだ。

③で、日本はどうなる?

選挙戦の時から安全保障の問題とか言ってたけど、クルマメーカーの名前が出た辺りでいきなり焦って「自分ごと」になってきて。

④そして実際の政策の話

就任以来ぶちかまされた大統領令、ことに入国制限をめぐる話は反発も強く、司法との関係もあってご存知の通りの大騒動。

だから、こんな会話にしかならない。

「トランプを支持する層があれだけいたんだねぇ」

「ああいうキャラが結局アメリカでは強いんだよ」

「でも、いまさら日本の自動車メーカーに文句言うのって勘弁してほしいよね」

「だいたい、大統領令も乱暴すぎるでしょ」

「けど、アメリカでは結構支持している人いるんでしょ」

というわけで、①に戻るのだ。入国禁止令にしても「とんでもねぇな」とは思いつつ、義憤を感じている日本人はどれだけいるのか。

とりあえず「火の粉はかぶりたくない」一心だから、一部からは揶揄されながらも安倍首相の支持率は上がる。そんな程度だし、その感覚はメディアも同じだろう。

そんな日本のメディアでトランプ関連のニュースをこれ以上見たり読んだりするのは、一休みしたい。メディアも報じているつもりで、完全に「塗りつぶされて」いる。「トランプ出しておけば読まれるだろう/見られるだろう」なんだろうけど、もっと大切なことはいろいろあるはずで、報じられてないこともあるようだし。

と思っていたら、今度はマレーシアであの国がショーをやってくれた。ますます大事なことが見えにくくなるよなあ。



2月はひどかった。というか、まだ折り返しなでこんなことを言うのも変だけれど、慌ただしくあっという間に過ぎている。

1月は、そうでもなかった。「1月は往く、2月は逃げる」とかいうけれど、そういうことじゃない。仕事のコントロールを、ちょっと間違えたのだ。

第2週の半ばに、大切なミーティングが続き、しかもそれぞれに結構な事前準備がいる。ところがあらかじめ決まっていた舞台や食事の予定もあったために、日中はパソコンの前でかかりきりになった。

そして、気が付いたら10日も過ぎている。

「時間がアッという間に経つ」

これは、大人にとっての大問題だと思う。まあ、いろんな説があるけど僕の場合はだいたい理由がわかってきた。今月のように「仕事をこなす」状況が続くと、あっという間に時は経つ。

詰め込まれた時間は、ゼリー飲料のようにズルズルと流れていく。それでも「当座は何かをやった」ことはたしかで、それはゼリー飲料のように「当座の十分な栄養とカロリーをとれた」のと同じだろう。

でも、それだけだ。そして、「時間がしっかり経つ」のはどういう時か?これは人によって異なると思うけれど、僕の場合は単純で「本をどれだけ読んだか」ということだと思う。

今年の1月は、新しく読んだ本が12冊で小説が8冊。ところが2月は10日までに2冊。

つまり、「本を読んでいる」時間の記憶はアタマの中の新しいところに作られていくような感覚だ。

この「新しい記憶」が充実していると、後から振り返っても「アッという間感」は少ない。このことは少し前から気づいていて、同じ本でも小説の方がより記憶が豊かに感じる。

なんというか「別世界体験」は、時間の流れをゆっくりにしてくれると思うのだ。

だから読書だけじゃなくて「初めての場所」に行った記憶も同じような効果があると思う。

旅行はもちろんだけれど、昼飯を食べたり散歩したりするときも、時間があればいろいろな歩き方をするけど、2月はそれもできなかった。

つくづく感じるのだけれど、「時間が経つのを早く感じる」ようにすることは簡単だと思う。毎日、何かをこなしていればあっという間に1週間が経ち、1年が過ぎて、一生が終わる。僕の場合は、旅と読書がそのスピードを減速させて、あたかも周囲の景色を見せてくれるようだけど、それは人それぞれだろう。

自分なりの「時の減速手段」を持っていないと、時間は加速する。あと、個人的にはツイッターのような「スクロール」は加速を激しくすると感じていて、あまり近寄らない。

それって、何か「読んだ気分」になるだけではないだろうか。

もっとも、本を読んだといっても、本当に自分の身に入っているのかはたしかに怪しい。ちなみに「読んでいない本について堂々と語る方法」という本があって、これは究極の読書体験を語っている。タイトルや見出しは「知ったかぶりのノウハウ本」のようだが、実際に読んでみると、これは本好きがたどり着いたある種の到達点だ。

ただし、山頂を極めるような到達点ではなく、路地裏の袋小路を極めたら知らない別世界があったという感じだ。

本が好き、という方ならぜひ一度をお勧めしたい。文庫本も出ているのに、レビューが単行本に集中しているのでご参照を。



先週、春風亭昇太の独演会に行った。久しぶりの「オヤジの王国」をいう新作を演じていて、仕事に疲れた父が自宅に帰ってくるシーンがある。

妻は「会合」と称して出かけてしまい、やっと帰ってきた娘はロクに挨拶もしないので父が咎めると、思い切り逆襲される。

「私だってバイト大変なのよ!恵方巻100本売らなきゃいけないんだし!」

会場は大爆笑。あとで昇太が言うには、アドリブネタだったらしいけど、当日のNHKが「恵方巻で悲鳴 過酷な販売ノルマに苦しむ実態」というニュースをやっていたのを拾ったらしい。

まあ、そんな具合に昇太が達者なのはいいんだけど恵方巻も商いとしては限界に来てるんだと思う。そして、それっていわゆる「プロモーション」の限界なんだろうなと思う。

「プロモーション」というと、相当に範囲は広い。ただ、おおざっぱにいうと「気づかせる」段階と、「恒例化」する段階があるだろう。

恵方巻という一部の習慣を、広めようという「気づかせる」段階では、たしかにいい着眼点だった。

まず、これといった「売り物」がない時期だけど、「豆」を買おうという人は多いからコンビニやスーパーには行く。節分は行事としては生きているんだから、そこに「新習慣」を持ち込むのは発想としては十分ある。しかも、海苔巻きだからすでに製造ルートはある。

僕はこの習慣のないエリアで生まれ育ったので、買おうとは思ったことはないけれど、企画自体はよくできていたと思う。 >> 恵方巻が映し出す「プロモーション」の限界。の続きを読む



71PQMLlco8Lハードボイルドは難しい。

というのも、そもそも定義がわかったようでわからない。そう言われている類いの小説を何冊か読めば肌で感じることはできる。しかし、これがまた興味のない人にとっては、えらく縁遠いらしい。

簡単に言うと、どこまでいっても「わざとらしさ」がつきまとう。それが小説の魅力だと思う人もいれば、リアリティがないという人もいる。

まあ、そんなものは小説の根源に関わる論争で深入りする気はない。ただ、日本人が日本を舞台にしてハードボイルドを書こうとすれば、どうしてもこの「リアリティ」のことを考えなきゃいけないだろう。

ハードボイルドは、アメリカ生まれだ。ヘミングウェイの作風もそれに近いかもしれないし、映画の「カサブランカ」もそうかもしれない。しかし、小説しかもミステリー仕立てなら、チャンドラーの作風が典型だろう。

渋い男が、カッコいい台詞を吐き、酒やたばこの小道具にもこだわる。そして事件はいつもほろ苦い。

そして、日本に「移植」すると、どこかギクシャクする。そのギクシャクを承知で成功した1人が原尞だろうか。

でも、時代は変わった。いつしかハードボイルド的な世界が日本だけでなく米国でも希薄になったような気もする。

そんな中で、若竹七海の「葉村晶」のシリーズは、このリアリティ感が絶妙だと思う。 >> いまの日本だから面白い、若竹七海のハードボイルド。の続きを読む