2016年10月アーカイブ

510dajmbmglクラシックのコンサートは妻と行くこともあれば、1人のこともある。

1人の時は、シェーンベルクのオペラとか、ベートーヴェンの室内楽とかさまざまだけれど、ショスタコーヴィチやブルックナーも入るだろうか。

今年も行ったが、男の客がやたらと多い。バレンタインデーにバレンボイムを聴きに行ったら、チラホラと女性一人客もいたが「間違えてはいないか?」と気になってしまう。

この小説の主人公の女性も、1人でブルックナーのコンサートに来る。そして、いかにもな男性から声を掛けられて彼らの仲間「ブルックナー団」とのつき合いが始まっていく。

この辺りのニュアンスは、ある程度クラシックを聴いて、コンサートまで行き、かつネットでそれなりの情報を得てないとわからないかもしれない。

というか、「ブルックナー団」というタイトルで、何かを感じない人には縁遠いかもしれない。

小説は、彼らの現実世界のつき合いを書いているが、主役はもう1人いる。

ブルックナーだ。

男たちは、ブルックナーの伝記を書こうと試みている。そして、その書きかけを主人公の元に送る。彼女がそれを読んでブルックナーへの理解を深めながら、読者もまたブルックナーの人生に思いを馳せる。

なかなかに巧妙なつくりなのだ。 >> 不思議に優しい読後感「不機嫌な姫とブルックナー団」の続きを読む