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61cO4XkCVfL暑い週末だった。不在者投票を済ませて、そのまま自宅に籠って仕事などをしていたが、さて音楽を聞こうと思っても、すべてが暑苦しく感じる。

とはいえ、バロックの「リコーダーアンサンブル」とか聞いても、「夏バテには素麺」みたいで、これはこれで虚弱になるような気がする。

そもそも弦やボーカルも暑苦しいので、行き着く先はピアノ辺りだろうか。そうなると、軽くてきれいな「無言歌集」は、ちょうどいい。

メンデルスゾーンの傑作で、自ら弾いた人も多いかもしれない。ただ、全曲集のディスクはあまりない。第8集まであってそれぞれが6曲だから、全部で48曲になる。本を読んだり、仕事をしながら聞くことが多いけれど、ふとページをめくる手を止める時が幾度とある。

第5集の3曲目は「葬送行進曲」だが、これは有名な「結婚行進曲」を反転させたようになっている。「タタタターン」といういわゆる「運命動機」だ。マーラーの交響曲5番を聞いて、「結婚行進曲のマイナー版」と感じる人が多いようだが、既にメンデルスゾーン自身が書いていて、マーラーはここを参照したように感じる。そして、3曲先には、有名な「春の歌」となる。

個人的に好きなのは、第2集の3曲目の「慰め」かな。とある教会の礼拝前に、オルガンで奏されていた。「讃美歌30番」としても知られているが、ピアノの素っ気なさがかえってしみじみとした抒情を感じさせる。

バレンボイムは、こうした小品を弾く時のセンスがとてもいい。ちょっと突き放したくらいの演奏だから、全曲を聴いてもまったく飽きが来ない。

スマートフォンにダウンロードしたり、クルマで聞いたりと、身近に携えていたい曲集だと思う。

もちろん、暑い日じゃなくても、十分に楽しめるし。