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資生堂「インテグレート」のCMがオンエア中止になりました。若い女性をターゲットにした広告でしたが、CM内の言葉を「セクシャル・ハラスメント」と捉えた視聴者からの声に配慮したということです。

このようなケースは他にもいくつか見られました。たしかに「文句を言われる可能性」は感じます。ただし、ハラスメントとは決めつけられないとも思います。これは人によっても意見が分かれるし、私としても白黒ハッキリ論じにくいテーマだと考えてます。

資生堂は女性向け商品を中心に、長いこと多くの広告を制作してきました。今回の件も制作側に悪意はないと思いますが、なぜこうした問題が起きるのか?

それは、「インサイト」と「ハラスメント」という異なる視点からの発想が、ぶつかっていることが理由だと思います。

広告やマーケティングの現場ではインサイト(insight;洞察)という言葉を使います。ターゲットのなる人の心の奥底にある意識、つまり「その人になりきって考える」というような意味合いです。

今回のCMでも20代女性のインサイトを掘り下げようとしたと思います。

また一般的にはそのためのインタビュー調査などもおこなわれます。そういう意味で、この広告の制作者はインサイトをつかむための努力をしたと考えられます。

さて、それでは、ここで別の視点で考えてみましょう。

今回の広告ですが、こうした言葉が「独り言」だったら問題になったでしょうか? >> インサイトとハラスメントの狭間で揺れた資生堂のCM。の続きを読む



「有名人をコマーシャルに使わない文化」という記事があった。この記事では、最近のニュースなどを見て有名人の私的な領域と、業界の掟についていろいろ書かれている。具体的なことは一切書かれていないのだが、途中で「有名人をコマーシャルに使うということが、アメリカなどでは比較的ない」と書かれた後に、こうした結論になる。

(引用)『「有名人をコマーシャルに使わない文化」の背後には、「人間尊重」の哲学があるのではないかということを、昨日は考えていた。』

個人が考えてエッセイ的に書いてることだし、やや唐突な「三段跳び論法」みたいなものに細かいツッコミは野暮だと思うだけれど、広告やマーケティングについての無用が誤解が広がるのもどうかと思うので、「有名人とCM」について簡単に書いておこうと思う。

・タレントCMは日本特有なのか?

この方も米国との比較で書かれているが、たしかに米国よりは多いと言っていいだろう。米国のハリウッド俳優がCMに出ることは少なく、日本国内でオンエアするものだけに出演することもある。

ただし、世界には米国以外の国もあるわけで、アジアの国では日本のような「タレント広告」も多い。これはネットで調べてもいろいろとケースがある。

また、同じ有名人でもスポーツブランドの広告に選手を起用することはある。ナイキの広告にジョーダンが出演して以降、このような起用は多い。

・なぜタレント広告が多いのか? >> 「有名人とCMと文化」についての整理。の続きを読む



ポカリスエットのCMが目立つ。テレビで見て、一瞬惹かれた。音楽のWE WILL ROCK YOUはCMで幾度となく使われているけれど、ビジュアルのつくり込みもしっかりしている。なんといっても、久しぶりに「青春のポカリ」という王道に帰ってきたと思う。

と、書いたところでこれが相当に「年寄りの感慨」であることに気づく。

ポカリスエットは、僕が高校の発売された。まったく新しいカテゴリーの飲料だったのでよく覚えている。しかしこの飲み物も、自分たちの年代にとっては「熱中症予防」や、病中の「脱水予防」のためのものになっているのかもしれない。

そういうつもりで買ったことはないが、と書いて気づいたがそもそも最近はこうしたドリンクすら買っていない。
で、ふと気づいたんだけど、この広告は「命令形」で構成されている。しかも、大人から若者への命令だ。校長先生が歌い出し、「好きにやれよ」「世界を動かせ」と字幕が出て、最後も「潜在能力をひき出せ」という命令形だ。

当たり前だが、命令形は強い。ただし、企業が顧客に「命令」するというのは、よく考えると妙なところもある。 >> ポカリとか若者への命令形のCMが気になる。の続きを読む



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今日は、セグメントとターゲットについて具体的な事例を見ているわけですが、何度も言うように「性・年齢」だけで、ターゲット探っていくのはかなり困難になっています。そこで重視されているのが「消費行動変数」という視点です。(中略)
いろいろ変数を見てきましたが、次は使用頻度(user rate)についてです。これは、ユーザーが、そのカテゴリーをどのくらい使用するかという頻度によってセグメント分析をします。
ここで、問題になるのはいわゆる「ヘビーユーザー」という存在です。全体では少数派だけれど、多くのシェアを消費している場合。たとえば20%くらいの人が、市場の80%を消費しているのであれば、この20%の人々を徹底的に研究してターゲットにしようとするわけですね。
これは、モノによって全く違います。飲料で言うと日本茶というのは、それほどのヘビーユーザーはいません。そして嫌いな人もいない。どうでしょう、季節によるだろうけど平均すれば、みんな週に1~3回くらいは飲んでいるんじゃないかな?
じゃあ、缶コーヒーだけど、飲まない人は?あ、結構いますね。じゃあ、飲む人…で、そのうち週3回以上の飲む人は?
なるほど、缶コーヒーの場合飲む人が結構限られていて、かつその人たちがやたらと飲むという市場です。学生だと、毎日も飲まないかもしれないけれど、社会人にはヘビーユーザーも多い。何本も習慣的に飲む人もいます。そして、圧倒的に男性です。
そして、職業的には大きく二つにわかれます。一つはいわゆるオフィスのサラリーマン。こちらは、シャキッとしたいという覚醒のニーズです。あまり甘くない、あるいは無糖も欲しがるでしょう。
もう一つは、工事や運輸などの現場で働く人。こちらは、体を使うので糖分を欲します。
そして何よりターゲットの像が違いますよね。
簡単にいうと、缶コーヒーの広告はあまり「カッコ良すぎる」とうまくいかない。ちょっと泥臭いくらいがいいんです。実際に見てみようか。

>> 缶コーヒーのCMで見える「標的」は?の続きを読む



(2010年10月8日)

カテゴリ:マーケティング
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来年の7月に予定通りに地デジに移行すると、テレビメディアの価値はどうなるのか?ということについては「現状より上がる」という人が多い。僕も基本的にはそう思っている。
大画面のテレビが普及して高画質のコンテンツに接して「なかなかだな」と実感する人が増えているからだろう。
そんなおり、電通の澤本嘉光氏のインタビューを読んだ。地デジ化がテレビCMの「追い風」になるという主旨のお話。このページのあたりを読むと論旨はわかるだろう。
さて、この澤本氏の主張は「なるほど」という面もあるのだけれど、1つの仮説である。それ以外にどのような仮説が立てられるか?というのはコンサルタントの「仮説構築力」のテストになるかもしれない。
まず、澤本氏の論旨を仮説Aとしよう。

仮説A. テレビが大きくなると家の中心にテレビを置く。すると、そのテレビがいいものだから、家の中心に家族が集まるっていう状況になる。また各個人の部屋にあったテレビは全部見れなくなって、ただの「ハコ」になる。だからテレビ見たいんだったらもう1台買うか、家の真ん中のでっかいのを見ることになる。視聴率が上がるかどうかは別として、単純に人と一緒にテレビを見ている時間が延びる。そしてチャンネル争いも起きる。
チャンネル争い、というのは結果的にテレビへの関与度を向上させる、というわけだ。
さて、2011年の7月に起きることは他にどのような可能性があるだろうか。
以下、別の仮説。

>> 2011年7月に起きること。の続きを読む