2014年09月アーカイブ
(2014年9月10日)

カテゴリ:雑記
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ali日本画家の菱田春草の展覧会が間もなく東京国立美術館でおこなわれる。

それはいいのだが、ここでもまた既視感のあるPRを見ることになった。

猫だ。

春草の代表作に「黒き猫」他、たくさんの猫作品があるのはいいんだけど、今回の展覧会は猫のシルエットがアイコンになるほど「猫シフト」になっている。ちょうど一年前に行われた竹内栖鳳の展覧会もポスターなどには猫を使っていた。

猫好きは狙われている。可愛い猫の絵があれば、とにかく出かけてしまう。そして展示替えという、困ったこともあり、今回は白猫が去ってから黒猫が来たりするのだ。

今年、山種美術館でおこなわれた「kawaii日本美術」も猫好き狙い撃ちだった。

この10年くらいの日本美術の展覧会は、たしかに人が集まる。2005年に東博で開催された「北斎展」は連日盛況だったし、相前後して若冲も相当話題になった。

そして、日本美術における動物は魅力的だ。独特の愛らしさは、西洋美術にはない視点を感じる。そして、猫はその先兵なのだ。 >> 猫は日本美術の最高の広報官だと思う。の続きを読む



kindleのpaperwhiteは日本版が出てすぐに買った。2012年の12月。クリスマス前の時期に海外休暇に行った時に持っていった。プールの両隣りにいた西洋人が、二人ともkindleを持っていたのが印象的。ただ、その後日本では思ったよりは広がってない気がする。

kindleは何と言っても軽い。旅にはもってこいだ。何冊あってもあの重量なのだから。あと、僕が重宝しているのはスポーツクラブ。数十分エアロバイクで汗を流す時間が、読書になる。

ipad miniでも読めるが、paper whiteの方が疲れない。ただしコミックはipadで読む。kindleでどうにかしてほしいのは図表だ。解像度がひどいままのものも結構ある。

でも、最近は紙との使い分けがハッキリしてきた。小説など直線的に読むものは、電子書籍でも全く問題を感じない。

検索機能も便利だ。夜に酒飲みながらミステリー読んでて、翌日になって「誰だよ、こいつ」みたいなことになっても、ちゃんと探せる。北欧系のややこしい名前でも、OKだ。

ただ、使ってみて初めて気づいたのだけど、紙のように「バサッ」と何十頁もめくることができないのが困るのだ。 >> 紙の本の「バサッ」とめくれるのって、やっぱり大切だった。の続きを読む



入社2年目の頃だったか、先輩と飲んで築地の鮨屋に連れて行ってもらった。

ザワザワとして、普通に会社員がいるようなところだ。

僕は当時コピーライターで、結構遅い時間まで先輩と一緒に仕事をした後だった。

店に入ってほどなく、隣の席の妙な感じに気づいた。先輩が、僕と同じくらいの社員を説教している。しかも、一方的で相当にきつい。

言われている方は返す言葉もない。ボロボロになったボクサーを、足蹴にしているような陰湿な感じがあって、一体どんな会社なんだろうと思った。

すぐ近くの新聞社だった。今では殆ど見ないが、その頃は社名入り封筒を持っていることが結構多かったのですぐわかったのだ。

広告制作の現場も相当な徒弟制だったけれど、その説教ぶりはかなり印象深かった。学生時代、新聞業界にも関心はあったのだけれど、行かないでよかったなぁと感じたことを覚えている。

いま、朝日新聞が大揺れのようだが、僕はこの夜のことを思い出す。

この一カ月ほどの騒動については既にいろいろな人が論じている。僕が、見ていて気になるのは「どうして謝るのが下手なのか」ということだ。これが、問題をこじらせている。そして、そのことを考えた時、四半世紀前のことが頭をよぎる。 >> 新聞社はなぜ謝るのが下手なのか。の続きを読む



犯罪心理捜査官セバスチャン〈上〉犯罪心理捜査官セバスチャン〈下〉

M・ヨート,H・ローセンフェルト『犯罪心理捜査官セバスチャン』(東京創元社)2014.6

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そういえば、あまり書評とかディスク評って書いてこなかった。それなりに読んだり聞いたりしているのだから、週末中心に、だんだんと書いていこうかと思う。

で、まずは北欧ミステリーから。

別に、意識的に北欧ミステリーを読んでいるわけではないが、話題になったものを読んでいくと、結果的に北欧のものになっている。『ミレニアム』に始まり、デンマークを舞台にした『特捜部Q』、アイスランドの『湿地』『緑衣の女』、フィンランドの『極夜』など。

北欧が舞台だから、ミステリーの様式が大きく違うわけではない。なんとなく天気が悪くて、食べ物は美味しそうじゃない、というのが共通点だが、そもそもミステリー大国の英国がそうだからか、違和感はない。

登場人物が、それぞれの個人的な葛藤を抱えていることも多い。これもミステリーには多いかもしれないが、米国のハードボイルドのような様式的なカッコ良さではない。もっと、現実的でなまなましい。

本書も、登場人物が一癖もふた癖もある。一番くせ者は、主人公のセバスチャン。彼が、捜査チームに加わることから話は始まる。

事件自体は凄惨だ。~心臓をえぐり取られた少年。事件を担当する国家刑事警察の殺人捜査特別班に、かつてのトップのプロファイラーが加わる。だがこの男、自信過剰で協調性ゼロの迷惑男だった。~(内容紹介より) >> 晴れ間もある日の北欧ミステリー『犯罪心理捜査官セバスチャン』の続きを読む



これは、「50代からの働き方」とかいうお題ではなく、最近感じる備忘録のようなもの。

自分で仕事を始めたのが40歳で、先般10年経った。考えるのは、次の10年だ。ところが、これがなかなかに悩ましい。ちょっと前に書いたけれど、「10年後はまだ50」と、「10年後はもう60」という差は結構大きい。

そもそも、50代というのは相当ややこしい年代なのだ。

ちょうど先般発表された、内閣府の「国民生活に関する世論調査」では、毎年「日常生活での悩みと不安」を聞いている。大体、2:1で「悩みや不安がある」人の方が多いのだけど、1990年頃は1:1だった。その後、どんどん増加している。

そして、今回もピークは50代だ。これは、遡れる範囲で数字を見られる1999年でも同じなので、世代の問題ではないと思う。

他の調査でも、50代というのは幸福感が薄かったりする。

社会的には、十二分に大人だ。50代以降で子ども扱いされたければ、政界入りするくらいだったけど、そこでも段々と若返っている。40代までは「何をすべきか」ということ書かれている本があって、定年後の人々へのアドバイス本もあるが、50代対象は少ない。

つまり「自分で考えろ」ということなんだろうけど、そうそう簡単ではない。

仕事においては、大体見通しがついてくる。ボードメンバーになるのはごく一部だ。そうなると、現在それなりのポジションにいたとしても、そろそろ「身の処し方」は考えるだろう。既にマイペースを決め込む人もいる。

とはいえ、そうそう引退できる感じでもない。漠とした不安はあるが、結局は「自分で考えろ」になる。 >> どうする? 50代の10年。の続きを読む