2016年06月アーカイブ

61umgNt+vIL別に40歳になってなくても構わないのだけれど、葉書を書くことに関心を持つのはちょうどその頃じゃないかとも思う。僕はその年で会社を辞めたこともあり、何となく手紙や葉書を書く機会も増えた。

もともと字を書くことが好きだったこともあるが、コミュニケーションのテンポやリズムを意図的に変えたくなるのかもしれない。

よくわからないけど、ちょっといいモノがほしいと思って鳩居堂の便箋や葉書を手元に置くようになった。詳しい人であれば、日本橋のあの店や、京都のあちらの老舗が、といろいろあることは承知している。

ただ、そこまで凝るつもりはないし、店舗の多い鳩居堂は何かと便利だ。絵葉書などをネットで買おうとすると、単価が安い割に送料が高く、その上好きなものが選びにくいので、店で買うことになるのである。

ふと、思ったのは「とらや」に似ているなと。

あまりにも有名になったので、通の方はいろいろと他の店の品を挙げることもあるようだが、口に運ぶたびに感心する。「ああ、やっぱり」という感覚だろうか。 >> 40歳過ぎたら鳩居堂の絵葉書でも。の続きを読む



プレゼンテーション1英国のEU離脱のニュースが、最近の国際ニュースの中では相当大きく、かつ継続的に話題になっている。しかも、大上段の分析ではなく、「身近な自分ごと」として捉えている人が多いようだ。

残留派/離脱派のそれぞれの傾向については、既に多くの解説が出ている。地域・年齢・階層など、いろいろな切り口はあるだろう。ただ、日本人としても何となく察せられるのは「グローバル化という慌ただしさ」への心理と行動が、人によって違うんだろうなということじゃないか。

グローバルとデジタル。この2つの波をどう捉えるか?というテーマは、20年以上前、会社員時代に言われた。人によって違うかもしれないが、もう相当の期間「わかっている」ことではある。

ところが、人によって行動は異なる。

「グローバルを受容して、積極的に動く」(受容/積極)

これができる人は、もうまっすぐに進んでいく。成果をあげている経営者やビジネスパーソンの多くはそうしているだろう。いわば「イケイケ・グローバル」 >> 「グローバルは嫌」だけど、何もしない困った人々。の続きを読む



「オレの愛したソニー」という連載記事が話題になった。

ソニーという企業は不思議なもので、社員でもないのにやたらとソニーに詳しいという人がいる。いわゆる「ソニー本」のマニアという感じだが、そうでなくても日本人の関心を惹く企業であることは間違いない。

個性豊かなOBたちのインタビューは、お話としても面白いし、経営を考える上で学ぶことも多い。歯に衣着せぬという表現通りで、存命の経営陣もバッサリだ。それにしても、現役社員の気持ちはどうなんだろう。

で、僕がずっと引っかかっていたのはタイトルだ。これは、編集部がつけたものなので、ソニー自体とは関係ないのだけれど、このフレーズにピタリとくる企業名はそうそうないのではないだろうか。

まず、「愛した」という時点で擬人化されている。つまり、ブランド・アイデンティティが強烈じゃないと成立しない。

そして、何といっても一人称が「オレ」だ。つまり、男性である。ここでは対象が「女性的」なパーソナリティでないと、成立しない。

「オレが愛したクレーム・ブリュレ」ならまあいいけど、「オレが愛した納豆蕎麦」では、成り立ってくれない。「カレー南蛮」も厳しくて、「一枚のせいろ」ならどうにかなるのか。

いや、そういう話ではない。 >> ソニーという女神を巡る、男たちの愛憎。の続きを読む



41Vw-Q7c1wL気がついたら、夏至も過ぎている。

日本では、夏至だからといって何があるわけでもない。おおかた梅雨のことも多いので、その陽の長さを満喫しきれないことも多いだろう。

冬至はクリスマスも近く、それは意図的なものとも言われているし、日本でも柚子湯とかの習わしがある。

欧州だと、夏至はそれなりの節目のようだ。「真夏の夜の夢」は、シェイクスピアの脚本やメンデルスゾーンの音楽で有名だが、この「真夏」という訳語はもちろん議論の対象になった。

もっとややこしいことに、内容自体は五月祭を舞台にしているので話はちょっとこじれる。ただし、欧州ことに北部では夏を迎えた大騒ぎというイベントは伝統的なのだろう。短いが、ずっと明るい白夜の季節でもある。浮かれたくなるのも、よくわかる。

もっとも、今年の欧州のように「夢であってほしい」と思う年もあるのだろうけど。

スウェーデンの作曲家、アルベーンに「夏至の徹夜祭」(夏の徹夜祭り)という曲がある。スウェーデン狂詩曲の第1番なのだが、この作曲家はこの曲しかしらない。

というか、デュトワ=モントリオールの「ラプソディ!!!」というアルバムを聴いて、初めて知ったのだ。 >> 夏の夕暮れに最高の一枚。デュトワとモントリオールの「ラプソディ!」の続きを読む



いやぁ、英国がやってくれた。僕は世論調査よりもブックメーカーの予想を信用していたので、そういう意味でも驚いた。

SNSなどで見ているけれど、周囲の人間はこの結果をマイナスに受け止めているし、市場の動きがすべてを物語っている。「つながる世界」の一端が綻んだのだから、日付変更線に近い東京がもろに嵐をかぶることになった。

僕なんかよりももっとたくさんの外国人と仕事しているような人は「周りには誰一人離脱派はいない」と言っていた。どこかで聞いたな、と思ったけれど「離脱派」を「トランプ支持派」と読み替えれば思い当たる。

つまり、いま現役世代でビジネスの前線にいる人と、それ以外の人には大きな溝ができているのだろう。これは、世界中、というか先進国中心に起きている現象だと思う。

英国でも50代以上で離脱派が優勢だったようだが、つまり「自分は世界とつながってない」と思ってる人なんだと思う。

国境を超えた「グローバル」な社会への嫌悪や懐疑が、想像以上に広がっているということか。

本音を言うと、僕だってそれほど「グローバルなつながり」に振り回されたくはない。自分の幸せは、半径10メートルで実現できればいいんじゃないか?と思う。 >> 高齢層が推した「EU離脱」で、ドリアン・グレイを思い出す。の続きを読む